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 怒りを抑えたアナトが、ブツブツとつぶやいてる。

「そういや、さっきの誰?」

「あー私の同僚で、名前はイシュタム。自殺を司ったり、死者を楽園に運ぶ仕事をしてるのよ」

「ふーん……なんか神さまみたい。

「一応、女神だからね」

「それで、アナトは?」

「私は、愛と戦いの女神よ」

 得意そうに胸を張りながら答えるが、胸がないのでさまにならない。

「マジで? まじで女神?」

 さっきのイケメン騎士が女神の名前って言ってたの、間違いじゃないんだ……。

「なんで、この世界の女神が俺の世界に来たんだ?」

「なに言ってるの? この世界に私と同じ名前の女神なんていないわよ? 蒼真の世界だけよ?」

「え? じゃあ、さっきの騎士が言っていた女神と同じ名前ってのは?」

「それだけ、素敵な名前って言いたかったのよ」

 そうかな……? 絶対に違うと思うんだけど、今の目をハートにしてるアナトには、何を言っても無駄だろうな……。

「というか俺、アナトって名前の女神を知らないんだけど?」

「なんですって!」

 瞬間的に、アナトが怒る。

「ウガリット神話に出てくるでしょ! もちろん、知ってるわよね? ウガリット神話!」

 襟元をつかまれ、激しく揺さぶられる。首を縦にも横にも振ることが出来ず、ただただアナトの怒りが収まるのを待ち続けた。

「く、くる……しい……たす……け……」

 何か騒ぎながら、俺の襟元を締め付ける力を強くするアナト。このままじゃ、マジ死ぬ! 助けて!

「は~い!」

 そんな間延びした声が聞こえたとたん、大きな打撲音が響いてアナトがおとなしくなった。そして、襟元を掴んだいる手が緩くなりその場に崩れ落ちる。

「アナト?」

 いったい、なにが起こったんだ? 周囲を見回すと、さっきのイシュタムだっけ? ゴスロリっぽい奴がかなり太い丸太を持って立っていた。あぁ、なにが起こったのかは理解した……。アナト、死んでなきゃいいけど……って、女神って言ってたっけ? じゃあ、死なないか……。いちおう、神さまなんだろうし……。

 そういやこの二人? 二柱? って、ずいぶん人間ぽいよな。感情とか人間と同じだし、マジでこれが神さまだったら人類は幻滅するんだけど、その辺についてはどう思ってるんだろう?

「うーん……」

 頭をさすりながらアナトが起き上がる。気が付いたのか。

「痛ーい! なんなのよ、もう!」

 俺は、元凶を指さした。アナトの視線が、俺の指さす方へと向かう。

「イシュタム!」

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