表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/147

二十一

 ん? 歩きだと? ということは、馬車とか馬とかを使えば、もっと早いのか? 人間の歩行速度が、時速約4キロだろ。馬がだいたい60キロぐらいだから……単純計算なら一年はかからないが、馬って、どれぐらいの距離を移動できるんだ? それに、人間も一日にどれぐらい歩けるんだ?

「まぁ、もっと簡単な方法はあるんだけどね」

 え? 簡単な方法? それってもしかして……。

「移動魔法ですか?」

「そうね」

 そんな便利な魔法があるなら、さっさと使おうぜ! さっさと移動して、さっさと終わらせて、さっさと帰ろうぜ!

「問題は、蒼真よね……」

「え? 俺?」

「そう……。私一人なら、すぐに移動できるんだけど、蒼真は無理だからね……」

 なんだよ。じゃあ結局は徒歩か馬ってことか? ぬか喜びさせるんじゃねーよ!

「だから、移動の扉みたいなのを使うわ」

「へ?」

「蒼真が遊んでいるゲームにも、そんなのあるでしょ? 別の場所に移動できる装置」

「そりゃ、RPGとかでは定番だけど……」

「じゃあ、そこへ行くわよ」

「ちょっと待て、それって俺も使うことができるのか?」

「もちろんよ。じゃなければ、連れて行かないわよ」

「分かった」

「その装置をいくつか経由すれば、10年はかからないわね」

「あの……ちなみに、何年ほどでしょうか?」

「一年はかからないんじゃない?」

 俺の口から、思わず安堵の溜息が出る。

「じゃあ、最初の装置へ行く前に、近くの街に寄って食料とかを仕入れましょう」

「あぁ」

 近くに街があるのか……。って、ちょっと待てよ。こういうのって街まで何日もかかるとかよくあるよな?

「街までどれぐらい?」

「歩いて半日ぐらい」

 またまた、俺の口から安堵の溜息が出た。

「じゃあ行くか」

 安心したのと、街を見てみたいのとで、思わずはりきってしまう。

「なんだか、声がうきうきしてるわね」

「そりゃね」

 俺、この世界に来てからあの家と、森の中しか知らないからな……。人も家族とアナトしか会ってないし、色々と興味はあるし楽しみだ。そう思いながら、アナトの背中を追う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ