表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/147

二十

 あれ? 死なれたら困るのか? どういうことだ? 俺が嘘を言ったせいで困ったことになってんだよな? その元凶の俺が居なくなれば、アナト的には問題解決ってわけじゃないのか? 

「蒼真?」

 考え込んでいると、アナトが俺の顔を覗き込んできた。

「ん? 何?」

「ボーッとしてるから、どうしたのかと思ったんだけど?」

「あ、悪い。ちょっと死にかけて色々と思うところが……」

 俺が死んで問題解決なら、そもそも助けるようなことはしないよな。この身体に俺の魂? を移す? ようなことはしないだろうし、死んだ状態でそのまま連れてくよな。俺の死体を引きずるアナトを想像して、なんだか少しおかしくなった。

「なに、にやにやしてるの? 気持ち悪い」

「いや、別に……」

 しまった……。顔に出てたか……。

「それにしても、少ししか話していないのに凄いわね」

 しみじみとした表情と声音でアナトがそう言う。

「やっぱりって感じよね」

 ヤメロ……。

「蒼真の得意ぶん……」

「ヤメロ!」

「……」

 思わず叫ぶ。

「分かったわ」

「……ごめん……」

「別に謝ることないわよ。それよりも、修行はそんなに長くかからなそうよね。上司のところへ付く前に終わりそう」

「そうなのか?」

 話題が変わり、ホッとする。

「そうね。基礎を教える必要が無いから、コントロールとかそれぐらいでしょ。それなら、そんなに時間がかからないと思うのよね」

「それはいいな」

「そうね。私も楽できて助かるわ」

「それで、その上司というやつのところへ行くのに、どれぐらいかかるんだ?」

「……10年ぐらい……?」

「あ、そう。10年ね……って、10年? はぁ?」

 ちょっと待て! 10年ってなんだよ? もしかして、この世界での10年って、俺の世界での10日ってことか? そうじゃなきゃ、おかしいだろ? 10年もどうやって旅をするんだよ? 食料だって、これしかないんだぜ?

「あーちょっと聞くけど、10年って何日?」

「3,650日ぐらい」

「ですよね……」

 ということは、マジ10年?

「あの、10年も旅することで間違ってないんでしょうか?」

 ちょっと下手に出て聞いてみる。

「そうね。この世界の交通手段って、馬とか馬車みたいなものしかないから、歩きだとそれぐらいかかっちゃうわよね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ