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「あ、弟さんは、ちゃんと立派な人生を送るから大丈夫よ。あなたみたいに、死ぬまでニートじゃないから」

「……」

 やっぱり俺、死ぬまでニートだったんだ……。最後の方って、もしかしなくてもホームレスとか? 寒さで凍え死ぬとか? 空腹で飢え死にとか? ……まぁ、今さらどうでもいいや……。新しい人生なんだから、前のことは忘れよう……。

「じゃあ、色々と……」

「待って! もう一つ聞いても良い?」

「……いいけど」

「この身体の持ち主って、何で死んだの?」

「それは……」

 アナトが何か言い難そうにしている。でも、ここで聞いておかないとな。これから先、俺がこの身体で生きていくうえでなにか関係があるかもしれないし……。

「魂の自殺」

「魂の自殺?」

「そう。蒼真の世界は、99.999%物質が支配する世界。精神的なものは関与しているけど、とても少ない世界」

「うん」

「ここは、その逆とは言わないけど、まだ物質と精神が未分離の世界なのよ。だから、魔法というものがあるの」

「そうなのか」

「ただ、この世界では魔法というものや精神というものが理解されていない。そのため、魔法は誰でも使えるはずなんだけど使えない人が多いのね」

「うん」

「普通は、生活に支障をきたさないので、魔法が使えるってことに大半の人が気が付かないんだけど、たまにずばぬけた精神力というか魔法力というか、そういうのを持った人がいるの」

「それが、この身体の持ち主?」

 なんとなく、分かってきた。よくある設定で、魔力が大きすぎて身体が持たないってやつだな。

「そう。その身体の持ち主は、あふれ出る魔法を抑えるのに必死だったわ。少しでも気を抜けば、魔法が暴走するような状態だったからね」

「うんうん」

 いかにもな設定で、それらしくなってきた。

「その強すぎる魔法のせいで、あなたの元の身体の持ち主は死ぬことを選んだのよ」

「それって、やっぱりつらかったから? 俺、そこまで酷いこと無いけど?」

「あなたが死んだときと同じ頃、彼女は妹と一緒に居たの。妹が笑ってくれるのがとても嬉しくて、少しだけ油断しちゃったのよ……」

「油断?」

 なんだろう? ミミが笑って嬉しいのが油断? 訳が分からず、俺はベッドに横たわるミミの顔を見た。

「ほんの少し、心に隙間が出来たとたん、彼女の魔力はそこから流れだそうとしたの」

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