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十四

 叫び声のような音を上げるドアを開けて、中へと入った。まぁ、分かっていた……。水洗トイレなんて無いってことは分かっていた。なんか、土に穴を掘っただけって……あまりにも文明とかけ離れてる……。まぁ、もうこのさい、それもどうでもいい。俺は色々と限界なんだ! 用を足そうと思った瞬間、俺の動きと思考が止まる。女の子って、どうやって用を足すんだ? とりあえず、パンツを下ろす。これは、男も女も間違ってないよな? 自信ないけど……。

 ふぅ……。何とかミッションクリアしたぜ……。たぶん……。間違ってるとか、もうそんなのはどうでもいいや。気にしたら負けだ。というか、もし本当に俺が死んでいて、これからこの世界で生きていかなきゃならないとしたら、色々と困ることはあるよな。だって俺、男だし、女の子の身体なんて全く分からないし……。どうすればいいんだ? ってこと、山のようにあるよな? たとえば風呂とか……。

「もういいの?」

 ナーナさん、本当に待ってたんだ。さっきと同じ場所にいる様子に、なんだかもの凄く恥ずかしくなる。

「うん……」

「じゃあ、戻ろうか」

 ナーナさんに手を引かれ、家へと戻る。そのまま部屋まで案内され、ベッドに横たわった。ナーナさんは、ジッと心配そうに俺を見下ろしてる。

「お姉ちゃん?」

 どうしたのかと思い尋ねてみる。ナーナさんは一瞬、驚いたような顔をしたけどすぐに笑顔になった。

「何?」

 なんとなく気になって声をかけたけど、これと言って用があるわけじゃ……って、あった!

「あの、鏡はどこ?」

「かがみ? なにそれ?」

「え? あ、なんでもない。なんかふと思いついた単語だった」

 俺の答えに、ナーナさんは更に首を傾げる。とりあえず、鏡は無いって事だよな? あったとしても、別の名前とか?

「あ、そうだ。なんか寝込んでたから、今、どんな顔になってるか気になるんだけど……?」

「じゃあ、明日の朝は早く井戸に行きましょう」

「井戸?」

「顔を洗ったりするときに水に映してみるといいわよ」

 水が鏡がわり? ということは、鏡は無いのか……。水に映したので、俺の今の顔って分かるんだろうか? 悩む俺を、嬉しそうにナーナさんが見ている。

「ミーナも、自分の顔とか気にするようになったんだ」

 え? 元の持ち主って、顔とか気にしてなかったのか? マジで引きこもり? 俺と同じ?

「今度、町へ行ったときに紅でも買ってこようか? あ、それとも、一緒に行く?」


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