十八
えっ? ってことは、この後も一緒に居てくれるってこと?
「まぁ、これぐらいでいいなら……」
やったー! これで、アナトたちと一緒にいられる!
「それよりも。さっさと移動してしまいましょう!」
「うん! ……あ、アーサーは大丈夫?」
「はい。どこも痛くありません」
アーサーは俺に身体を動かして見せた。
「それじゃあ、ちょっとそこどいていて……」
「うん……」
アナトがその辺に置いてあるボロい家具に何かをする。魔法? 俺の知識じゃ、なにかしているってことしか分からない……。やがて、ボロい家具が消え、光の輪が出てきた。これが、旅の扉?
「さて、準備出来た」
やっぱり、これが旅の扉なのか……。普段は隠してあるのかな? 俺は、光の輪を見つめる。
「さっさと行くわよ!」
「はーい」
もう、アナトが一緒に居てくれることが決定しているから、なんだか晴れやかな気分で旅の扉を潜れるよ。俺は、アナトの後に続くように光の輪に入った。うっ、なんだか気持ち悪い……。俺は、気持ち悪さと戦いながら、なんとか光の輪を潜った。
「こんな……気持ち悪いなんて……」
「うーん……慣れかな?」
アナトがそう言った。慣れですか……。まぁ、とりあえず、目的地に着いた。俺は、辺りを見回す。あれ? 目的地って、こんなにショボイの? なんだか普通の家に毛が生えたような……。
「ねぇ、ここ、目的地だよね?」
「そうよ」
なんだか分からないけど、偽装しているとか?
「偽装している?」
「まあね」
ふーん、そうか……。じゃあ、きっとすごい建物が出るんだ。
「さて、次の目的地に向かうわよ!」
「へ?」
アナトが振り向いた。
「ここ、どこ?」
「隣の国」
俺の頭はしばらく止まった。
「ほら、行くわよ!」
「ちょっと待って! 目的地じゃないの?」
「目的地よ。旅の扉で、ちゃんと目的地に着いたわよ」
俺は、駆け出して窓を見る。街なかだ……。どこか、異国情緒が溢れている……。
「え? 旅の扉を潜ったら、アナトの上司に会えるんでないの?」
アナトがため息を吐く。
「最初に言ったわよね。いくつか旅の扉をつかうって……」
あ、言っていた……。なに? もしかしなくても、あれで終わりじゃないってこと?
「一年ぐらいかかるって……」
「言っていた……」
俺は、記憶を探る。確かに言っていた……。
「ほら! 行くわよ!」
「うん……」
俺はアナトに連れ出された。今までよりも、眩しくて暑い太陽だった。まだ、旅が続くってこと? まぁ、このさうなんでもいいや。まだ、このメンバーで旅が出来る! よし、名物を食べるぞ! 俺は、アナトの後に付いて駆け出した。
第一部完