表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/147

十六

「へっ、あ?」

 俺は弁当を見た。

「魔獣退治のときとかは、もっとひどいものを食べているので、大丈夫です」

「あ……ありがとう……」

 俺は礼を言うと弁当を食べ始めた。うー、こういうこと平気でするから、俺が女だったらイチコロだよ……。あ、そうだ。そういえば、考えて置くって言ったこと、今話した方が良いよね。もう、目的地は近いんだし……。

「あのね。アーサー。俺、働きたくないんだ……」

 アーサーが、何事かというような表情をする。

「えーと……。王妃様になるってことは、働かなきゃいけないんだろ?」

 あぁ、とアーサーが納得の表情をする。

「別に、働かなくてもいいですよ。病弱ってことにしておけば良いだけです」

 えっ? マジ? 俺、働かなくてもいいの? ロイヤルニートに成れるの?

「ただ、一度、父上に魔法を見てもらう必要がありますが……」

 見せる見せる! 魔法で良ければ、いくらでも見せる!

「本当に、働かなくてもいいの?」

「はい」

 えっ、マジでどうしよう……。

「俺の家族も養ってくれる?」

「はい」

 うわーっ、もう、この人に決めちゃおうか……。と揺れ動く俺……。俺の家族を養ってくれるのは大きい……。決めちゃおうか……。でも……。

「俺……胸が大きい人が好み……」

「女性……ですよね……?」

「うん……」

 まぁ、胸の大きな人が、俺を好きになってくれる訳ないけど……。

「だから、本当に形だけなら、考えてもいいかな……」

「本当ですか?」

 なんか、アーサーが俺に迫ってくる……。

「考えてもいいかな? だからね」

「ありがとうございます!」

 アーサーは急いで弁当を食べる。

「早く食べて、目的地へ行きましょう」

「え? あ、うん……」

 なんだかんだ言って、王妃様になるってことは、一番の出世? ってやつじゃない? ロイヤルニートが出来るし、悪くない選択だと思う。俺は急いで弁当を食べる。アナトがニヤニヤしてる。

「蒼真~アーサーと~結婚~するの~?」

「え? いや、考えてみる価値はあるかなーって……」

「ふーん~」

 イシュタムが余計なことを聞いてきた。

「男同士~なのに~いいの~?」

「いいの。俺、今は美少女だから……」

「そっか~」

 よし! 弁当を食べ終わった!

「ほら、もう出発しよう?」

 俺は、アナトとイシュタムを急かす。

「もうちょっとで、目的地なんだろ?」

「そうね……。少し、急ぎましょうか……」

 俺は、恥ずかしさのあまり、早く出発することを願う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ