十二
アーサーは、相変わらず優しいな。俺が女の子なら、喜んでプロポーズを受けたのに……。
「あ、美味しい!」
俺は、口に入れたものが、ものすごく美味しくて、素直に美味しいと言った。
「どれどれ……」
アナトも俺の美味しいに釣られるように、口に含む。
「あら、本当! ものすごく美味しいわ!」
アーサーがホッと一息ついた。
「美味しくて、良かったです」
「アーサーって、美味しいものにも詳しいよね?」
「まぁ、国内のことでしたら、名物や名産ぐらいは、知っています」
「ふーん……。だから、アーサーは美味しいものを知ってるんだ」
アーサーがなんか照れている。可愛い。
「とりあえず、持ってきたものは全部、ここらへんの名産なので、食べてください」
「はーい!」
俺たちは、ご飯を食べた。食べすぎて、ちょっと身体が動かない……。しかも、眠い……。うーっ、どうしよう……もうちょっとで、なにか掴めそうなのに……。
「眠いなら、寝る?」
アナトがそう言ってきた。
「でも……後少しで。なにか掴めそうなのに……」
「そのまま、眠いのに頑張っても、ものにならないから、寝たほうが良いよ」
アナトの言うことも分から。もう寝ちゃおうかな……。
「すみません……。私のせいで……」
「あぁ、ううん……。アーサーのせいでは無いよ……。実際、すごく美味しかったし……」
アーサーが気にしてる……。でも、眠い……。どうしよう……。
「アナトは眠くないの?」
「んー。人間と同じように眠くなったりしないから、分からないわ」
「そっか……」
うん。もう寝よう……。寝る支度とかいいや……。明日の朝で……。
「眠いから寝る……」
「そう。お休み」
俺は、目の前にあるアナトのベッドに潜り込む。
「ちょっと! 今日も泊まって行く気!」
「うん……」
「それでは、私はこれで……」
アーサーが、部屋に変えるつもりだ。
「アーサーまたねー」
俺はアーサーにまた空いたという意味で言った。
「はい」
そう答えると、アーサーは部屋を出ていく。「本当にもう、仕方がないわね」
アナトがなにか言ってる。もう殆どの意識が、眠気に負けている。俺の意識は、暗闇に引きずり込まれた。
朝、なんかの鳥の泣き声で目が覚める。
「おはよう……。アナト……」
「おはよう」
爽やかな挨拶が返って来た。
「俺、寝ちゃった?」
「眠いっ言って、そのまま寝ちゃった」
「そっか……」