十一
お茶を入れながら、アナトが訪ねてくる。
「あ、うん」
俺は、返事をした。アナトが、俺の分もお茶を持ってきた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
俺は、お茶を飲みながら、アナトを見る。
「そんなにイケメンが好きなら、残っちゃえばいいのに……」
思わず、声に出ていた。アナトが、お茶を飲みながら俺を見ている。
「やだー。蒼真ってば寂しいの?」
「べ、べつに寂しくなんかない。ただ、イケメンが好きなら、ここには居るのにって思っただけ……」
「そっか……。アーサーは、稀に見るイケメンだよね……」
アナトがうっとりする。
「そうそう。アーサー一人でも、お釣りがくるんじゃない? 頑張れば、王妃様にも成れるよ?」
俺は、何とか引き留めようとした。
「んー。やっぱり。自分よりも先に死んじゃうのはね……」
そういや、こいつ、一万年以上生きてるんだった……。まぁ、もう、しゃあないか……。
「んじゃ、勉強する?」
「うん……」
俺は、諦めない。ぜったいにアナトを振り向かせて見せる。イシュタムだと簡単なのになぁ。ちょっと厨二っぽいこととか言えば一発だ。ってことを考えながら、勉強をする。
時間が経ち、アーサーが晩ご飯を三人前持ってきた。
「まだ、終わらないんですか?」
「うーん……もう少し?」
終わらなくて悪かったね……。だって、難しいんだもの……。アーサーも、勉強してみるといいよ!
「あの……。ここで見ていてはダメですか?」
アーサーが突然、見学を申し出た。
「構わないわよ」
「ありがとうございます」
礼を言うと、アーサーが晩ご飯を食べ始める。うーん……。動いて無いからお腹が空かないな……。
「アーサー。スープ以外は食べて良いよ」
俺は、アーサーに声をかけた。
「いいんですか?」
「うん」
俺は、アーサーを見る。
「あんまり動かないからさ……お腹、空かないんだ……」
「そうなんですか?」
アーサーは、俺の食事を見た。しばらくジッと見つめている。あれ? 多かったかな? 普通、男ならあれぐらいの量、平気だけど?
「多いなら、無理に食べなくてもいいよ?」「いえ。そういう訳では……。これ、ここの名物なので、食べて貰いたかっただけです」
そう言うのを聞いちゃうと、食べないわけにはいかないよな……。
「あ、俺、食べる」