九
「凄い便利だね。俺も寝ないで良い身体が欲しかった……」
「まぁ、蒼真の場合は、転生前がアレだったからね……」
確かにニートだよ。毎日、時間を持て余していたよ。それでも、寝なくても良い身体は羨ましい……。
「そんなことより、今日で空間魔法について、終わらせうからね!」
「はーい!」
なんだかんだ言って、アナトは優しい……。このまま、次々と魔法をねだったら、目的地に着かなくても良かったりして……。俺は、一瞬、本気で考えた。でも、空間魔法以外思いつかない……。
「じゃあ、早く朝の支度をしてきてよ」
「うん……」
寝起きなため、まだ身体がちゃんと動かない。まじで、寝なくても良い身体、羨ましい。俺は、大きな欠伸をしながら、顔を洗いに行った。途中、イシュタムと出会う。
「おはよ」
「おはよう~」
欠伸をしながら挨拶をした。イシュタムも、寝なくて良いのかな?
「あのさ。イシュタムも寝なくて良いの?」
「うん~」
マジか……。羨ましすぎるぞ。
「でも~、寝るの大好き~」
はい? でもまぁ、分かるわ……。
「寝るの、気持ちいいよな」
「うん~」
やっぱ、女神でも気持ち良いことは好き。
「でも~、なんで~そんなこと聞くの~」
「うーん……。羨ましいなって思って……。でも、寝るのも気持ち良いよな?」
「うん~」
うん。まぁ、寝るのも楽しいってことで、いいのかな?
「あ、そうだ。今日は休みだって……」
「本当~?」
「うん」
心なしか、イシュタムが嬉しそうだ。女神も休みは嬉しいのか……。
「じゃあ~、必殺技の~練習してくるね~」
「お、おう」
必殺技か……。まぁ、頑張れよ……。
「じゃあ~、またね~」
「必殺技の練習、頑張れよ!」
お互いに手を振って分かれた。その後。俺はさっさと顔を洗って、アナトの元に戻る。
「おまたせー」
「じゃあ、まぁ、朝食までに、勉強しようか」
「おう!」
俺は勉強モードに切り替わる。まぁ、さっさとあの、異次元に物を置けるようなりたい。Pレは、勉強をする。時間も忘れて……。実際、アーサーが呼びに来るまで、朝食のことは、すっかり抜け落ちていた。
「いやー、すっかり朝食のこと、忘れていたよ……」
「そうじゃないかなと思っていました」
アーサーが呼びに来たので、アナトはご機嫌。これは、午後も良い感じで勉強が出来るぞ! 二人仲良く朝食を食べる。
「お昼は、持って行きましょうか?」
「いいの?」
俺はアーサーを見つめながら訪ねた。
「えぇ」