七
近くの街に着くと、宿屋を取った。ここは、毎度ながらアーサーに感謝だ。毎度毎度、いい宿屋を取ってもらって、感謝してもしたりない。
「さてと、蒼真は私と一緒ね!」
アナトが突然、そう言い出した。
「なんで?」
「なんでて、空間魔法を覚えるんでしょう?」
あ、そうだった。まだまだ、かかりそうだし、アナトの部屋で勉強だ!
「うん」
「まぁ、スジが良いから、明日、明後日には覚えられるでしょう」
「マジ?」
アナトが俺の方を見た。
「本当よ」
「やったー!」
喜んでいると、アナトが考え込んだ。
「でも、空間魔法と言っても、覚えられるのは、別次元に物をしまうぐらいよ?」
「それでもいい!」
まずは、別次元に物を置く方法! それから先は、それを覚えてからだ。それにしても、難しいよな……。次元についての概念はあるけど、あるだけだし……。
「それなら、今夜は、勉強ね」
「うん」
俺は、嬉しくなり今にも踊りだしそうだった。
「その……くうかんまほう? というのは、そんなに良いものなのですか?」
「あー、アナトがよく使っている、何もないところから物を出す魔法?」
アーサーが考える。いくら夢で俺たちの世界のことを知っているとはいえ、難しすぎたかな?
「はい。分かります。どうやっているのかは、分かりませんが……」
「それが、使えるってことだよ」
「はぁ……。凄いですね……。ますます、貴女を放っては置けません……」
あ、これ以上はやばいかも?
「じゃあ。また明日ね!」
俺は、無理やり話を終わらせて、アナトを引っ張った。
「ちょっと! なにするの?」
「いいから!」
まるで、アーサーから逃げているみたいね。
「うん……。まぁ……」
俺たちは、宿屋の廊下を歩き、アナトの部屋に着く。
「実はさ……怒らない?」
「怒らないわよ。ちょっとぐらいのことならね」
アナトが部屋に入った、俺も後に続く。
「アーサーにプロポーズされている……。と、言っても恋愛とかそういうのは関係なしに……」
「そう」
あれ? 怒らないの? イケメンがーって……?
「怒らないの?」
「なんで?」
「いや、ほら……イケメンだし?」
アナトが笑う。
「前にも言ったけど、住む世界が違うから……」
少し悲しそうに見えるのは気の所為?
「それに、寿命も違うしね」
「そういえば、アナトって、どれぐらい生きてるの?」
純粋な疑問をぶつけた。
「1万年以上よ」
「へ?」
マジで? マジで、そんなに生きてるの?