六
俺はそう言った。そうでも言わないと、アーサーってば、かわいそう……。
「そうですね……」
あ、アーサーが、なんだか寂しそうだ……。
「まぁ、全てはアナトたちしだい……」
「分かりました」
アーサーは、それ以来、口をきかない。俺も黙っていることにした。ひたすら歩く。なんだかもう歩きたくないって言い難いふいんき……。って、何故か感じに出来ない……。とかギャグをやっても、自分一人だから、誰も笑ってくれない……。そんなこんなで歩いて行く。アナト……もう、限界だよ……。
「じゃあ、そろそろご飯にする?」
まってました! ご飯!
「ご飯、何?」
「野菜の串と肉の串、魚の串! 好きなだけ食べてね」
アナトはそう言うと、別次元から食べ物を取り出す。
「やっぱりそれ、便利だよな……」
「蒼真は、次元を解明してないから、無理よ」
「でも、少しだけなら、理解したもん!」
俺は胸を張った。
「だから、俺にちゃんと教えてくれてもいいんじゃない?」
「そうは、言うけどさ。難しいよ?」
それぐらい、覚悟している。
「やってみなければ、分からないでしょう?」
「うーん……」
ふと、会話の外にいたアーサーが口を挟んだ。
「すみません。それって、ソーマさんに教えることは出来ないのでしょうか?」
「え? 教えちゃう!」
アーサーが頭を下げた。
「ありがとうございます」
そう言うと、またご飯を食べ始める。
「ふう……イケメンに弱いんだから……」
「イケメンは正義! イケメンにお願いされて、断るなんて、出来ないわ……」
アーサーがイケメンで良かったよ……。
「まぁ、なんでもいいから、教えて!」
「分かったわよ……」
それから、アナト講義が始まった。確かに難しい……。アナトの言っていること、三割も理解できているかどうか怪しい。でも、俺はアナトの話を聞き、分からないところは質問をした。
「あの、そろそろ移動しませんか?」
ハッつとした、周りを見る。辺りは暗くなってきていた。
「あっ」
「あら、今日は、近くの街で泊まることにしましょう」
アナトが立ち上がる。俺も釣られて立ち上がった。
「それにしても、夢中だった……」
「そうね……残りは、寝る前ね」
「おう!」
願ってもいないことだ。おそらく、これ完全に理解出来るのって、かなり時間かかりそう。その間、度はどうなるのかな? まぁ、旅よりも、空間魔法だ! 俺は、わくわくしながら近くの街へと続く道を歩いた。