五
「おし、じゃあ、朝飯を食って、出かけようか」
「そうね」
「そういたしましょう」
イシュタムだけは、返事もせずにご飯を貪っていた。まぁ、しょうがないか……。イシュタムだし……。俺たち三人は、食事の挨拶を交わし、朝食を食べ始める。うん、美味しい。俺たちは、朝食を堪能した。
朝食後、目的地に向かって出発する。さようなら。思い出深い街よ……。もう、イシュタムが居なくなったときには、そうしようかと……。他にも、アーサーにプロポーズされたり……。あれ、どうしよう……。考えておくとか言っちゃったしな……。俺は、歩いているアーサーの方を見た。俺の視線に気がついたのか、アーサーが見返してきた。俺は慌てて視線を反らす。
「どうしました?」
「え? なんでも無い!」
俺は、急いで歩き始めた。アーサーは、その後をついてくる。目的地が同じだからしょうがない……。
「そういえば、アーサーは目的地に着いたら、どうするの?」
俺が振り返り聞いてみた。アーサーは少し足を早める。
「そうですね。まずは、学べることは無いかなと思っています」
さすが、アーサー真面目だ。
「そっか……。アーサーは勉強熱心だね……」
「少しでも、国民の約に立てればと思います」
「ふーん。中々出来ることじゃないね」
普通はさ。権力とか持ったら、もっと悪いことしそう……。俺ならやってるね。例えば……。うーん……。悪いことってなんだろう? 美味しいものを食べ尽くすとか?
「ソーマさんは、なにかを書きに行くんですよね?」
「うん。そうなんだけど……何かは、未だによく分かんない……。まぁ、名前だと思うけど……」
アーサーが考え込む。
「終わったら、どうするんですか?」
「うーん……。考えてない……」
アーサーが更に考える。
「それなら、私と一緒に旅をしませんか?」
「うん?」
旅か……。それも、面白そうだな……。あっ、でも俺、アーサーにプロポーズされているんだった……。
「それ、面白そうだけど……」
うー。ここで返事したら、プロポーズを受けたことにならないか?
「プロポーズは、置いておいてください」
へ? いいの? プロポーズはいいの?
「貴女と一緒に要られるなら……」
え? これってやばいんじゃない?
「あーうん。考えてみる!」
「考えてみるですか……」
「あ、違うよ。アーサーと一緒が嫌なんじゃなくて、まだ、どうなるか分からないっていうところがあるから……」