表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

131/147

 女の子だったらというところを強調した。

「まぁ、推測ですが、他の世界の人間だからではないですか?」

 俺はハッとする。なんだか、アナトたちとは、ずっと一緒のつもりだった。離れるなんて、思っていなかった。

「まぁ、私の推測です」

 俺は、アーサーが進めるものを食べる。美味しい。だけど、なんだか悲しい味がする。何を食べてもそんな感じだ。

「俺、アナトたちとは、ずっと一緒にいるって……」

 いったい、いつからそう思っていたんだろう……。楽しくて……。そうじゃないこともたくさんあったけど、それでも楽しくて、いつか別れが来るなんて考えたくなかった。

「私の推測です。ですから、元気出しましょう」

「そうだよな。別れるって決まった訳じゃないし!」

 アーサーが笑って見せた。

「そうですよ。ソーマさんらしくありません」

「うんうん!」

 でも、頭の中から、アナトたちが消えるということは離れない。それでも、表面上は明るく振る舞った。


 暗くなって来た。俺は、たまらずにアナトの部屋へ行く。

「アナト……」

「なに?」

 アナトが俺の呼びかけに答える。俺は、言いたいのに言えないジレンマに襲われた。

「いや……えーっと……その……」

「なに? なにかあるなら言ってよ」

 アナトが痺れを切らしたのか、聞いてくる。

「あ、いや……明日、出発するんだよな?」

「そうよ」

「分かった!」

 俺はそう言うとアナトの部屋を出る。やっぱり聞けないよ……。目的地に着いたら、さようならってなるのかなんて……。どうしたら、ずっとあの二柱と一緒にいられるだろう……。一度だけ、上司? でいいんだよね?     

 と会ったことがある。なんだか優しそうな人だった。あの人なら、お願いを聞いてくれそう……。目的地に着いたらお願いしてみようか? きっと、一生懸命に頼めば聞いてくれるはず……。

 気がつけば、自分の部屋に戻っていた。明日、出発ってことは、もう寝ないと……。でも、今のままでは眠れない……。俺は、自分の部屋を出て、来た道を戻る。戻っていくうちに、またアナトの部屋の前に立ち尽くした。深呼吸をして、アナトの部屋を叩く。

「はーい」

 俺は、片手を上げる。

「あら、蒼真・忘れ物?」

「ううん。今日、一緒に寝てもいい?」

 アナトが一瞬、怪訝そうな顔付きをした。

「まぁ、いいわ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ