一
俺は、急いで服を脱ぎ始めた。
「ち、ちょっと!」
ん? なんかあった? アーサーが顔を真っ赤にして、俺から視線をずらす。
「おねがいします。服を来てください!」
「あっ」
やべー。俺、今は女だった……。アーサーが真っ赤になって視線を反らした理由を知る。「ごめん……」
俺は、慌てて脱いだ服を着始めた。
「いやー俺、今は女だってこと忘れてた……」
「いえ……。それでは私は着替えに行ってきます」
「うん」
危ない危ない……。マジ忘れていたわ……。アーサーが紳士で良かった……。アーサーが部屋を出ていった後、俺は急いで服を着替えた。と言っても、単純な服だから、すぐに着替え終わる。そして、急いで部屋を出ていった。そのまま、アーサーが泊まっている部屋へ向かう。少しして、着替えたアーサーが出てきた。
「では、行きましょうか」
「行こう行こう!」
いやー食べ放題だと思えば、心が弾むな……。途中、アナトに出会う。
「アナト! アーサーが食べ放題へ連れて行ってくれるって!」
「あら、いいわね!」
アナトが俺に向かって、いいねと言った。
「もう、ここぞと言わんばかりに食ってくる!」
「行ってらっしゃい!」
俺の食べ放題についてくるかと思ったアナトが喜んで俺を送り出そうとしていた。なんで? イケメンと二人で出かけるなんてズルい! とか言わないの?
「あれ? 付いて来るのかと?」
「うーん……。まぁ、二人で仲良く行ってらっしゃい」
「うん……」
アナトはバイバイろして、さっさと行ってしまった。イケメン好きなのになんで?
「行きましょうか?」
「うん……」
俺は、アーサーに促されて外へと向かった。アナトなんで付いて来なかったんだろう……。そんな考えが頭にこびりついて離れない。アーサーが進めてくれる食べ物もあまり喉を通らない……。
「大丈夫ですか?」
俺はアーサーを見た。
「ねぇ。なんでアナトは行くって言わなかったんだろう? イケメン大好きなのに……」
「イケメンって私のことですか?」
自覚が無かったのか……。こんなにイケメンなのに……。
「そうだよ! アーサー以外に誰がイケメンなの?」
アーサーが考え込む。
「王子様で、騎士で、そんでもってイケメン! 他に誰がいるの! 俺が女の子だったら、マジで惚れてたよ!」
「そうなんですか?」
あっ、やばいかも……。俺、女の子なら、惚れてたとか言っちゃった。でも、俺、男だから大丈夫だよね?
「うん……。まぁ……。女の子だったらね」




