目的地に着いたら死にかけた
朝、起きるとアナトが居た。どうしたんだろう?
「おはよう。アナト……」
眠い目をこすって挨拶をする。
「おはよう。というか、これどういうこと?」
ん? 何かあった? 俺はまだ意識がはっきりしない頭で辺りうぃ見回す。すると、そこには今、目覚めたばかりのアーサーがいる。なにか変なことあったのだろうか?
「なにが?」
アナトfが溜め息を吐く。
「蒼真……貴女は今、何なの?」
「俺?」
俺は考える、だが、分からない。
「分かんないから、教えて」
アナトが再び溜め息を吐いた。
「蒼真は今、女の子なのよ! なのに、男の人と二人っきりで、一緒の部屋にいるなんて…」
あ、そうか……。忘れていた。ついつい話し込んでしまって、そのまま寝てしまったわ……。
「あの……。私が悪いんです。つい、話が面白くて……」
「あら、アーサーはいいのよ」
うぉ! イケメンに優しい! 俺にも優しくしてよ!
「まぁ、アーサーとは話をしていただけ!」
キッとアナトが俺を見る。
「本当だよ?」 アナトが俺を睨んでいる。
「てか、俺にも優しくしてよ! アーサーばっかり!」
「イケメンは正義!」
アナトの言葉に、俺は溜め息を吐いた。
「俺も優しくされたい……」
落ち込む俺を、可愛そうなものを見るような目つきでアーサーが俺を見た。
「とにかく、もう昼過ぎよ! 貴女たちが起きて来ないから、イシュタムは、また必殺技の練習をしてくるって……」
「居なくなったの?」
アナトが頷いた。
「じゃあ、今日も休みだ!」
アナトはまた、溜め息を吐いた。
「そうね……。今日も休みよ……」
「やったー!」
俺は、全身で嬉しさを表した。
「ということで、早く起きなさいよ!」
「はーい!」
元気よく返事をするとアナトは部屋から出ていった。
「すみません……。私が、ついつい話し込んでしまったために……」
「ん? アーサーが悪い訳じゃないよ」
話していたのは二人なんだし、アーサーだけが悪いわけじゃない。
「お詫びに、今日は好きなものを奢りますよ」
「え? まじ?」
アーサーが言うんだから、間違いない。
「本当です。ついでに、食べ放題です」
え? 心惹かれる! でも、アーサーと出かけると、夫婦に間違われるんだよな……。どうしよう……。悩む……。めっちゃ悩む……。まぁ、夫婦に間違われてもいいか……。なんと言っても食べ放題! 食べ放題ですよ!
「行く!」
俺はもう、後先を考えられる状態では無かった。
「分かりました。支度をしましょう」
「うん!」