十三
朝、今日はいよいよ本社? ちょっと違うか……。アナトの上司のいるところに向かって出発だ! より、気合入れていくぞ! とは言っても、普段と変わらないんだけどね。相変わらず、長時間、歩くのは嫌だし……。
「アナト、おはよう」
「おはよう、蒼真。昨夜はよく眠れた?」
あーうん、正直に言うか……。
「昨日、夜中の変な時間に目が覚めて、それから寝てない!」
「大丈夫なの? もう一日、休みを取る?」
えっ? 休みを取ってもいいの? マジ?
「休みを取っていいなら、取る取る!」
「うーん……。まぁ、いいわ」
おっ! やったー! なんかイシュタムが見つかってから、アナトは優しくなった気がする。
「うん。じゃあ、休む!」
俺は、今日、歩かなくて良いことにホクホクする。それに、アーサーに考えておくとか返事してしまったから、会うのちょっとなぁ……。
「んじゃ、俺は部屋に戻っているよ」
「分かった」
俺は、部屋へ戻る。部屋へ戻ったら何をしようかな……。とりあえず、寝るのはダメだ。朝、夜と逆転してしまう。それを考えたら、外へ出る方が良いのかなぁ……。まぁ、ゆっくりと、部屋に戻って考えるか……。こうして、部屋に向かう俺は、途中でイシュタムと出会う。
「おはよう」
声をかけるとイシュタムが気がついたのか、俺の方を見た。
「おはよう」
「今日は、一日休みだって!」
イシュタムは考え込む。
「それなら~必殺技を~完成~させようかな~」
「それは良いけど、遠くに行くなら言ってて! みんな心配するから!」
「うん~」
元気よく変死をすると、イシュタムは行ってしまった。必殺技か……。普段の技とあまり変わらないって言ったら、泣くかな……。まぁ、本人が気に入っているならいいか。俺は自分の部屋へ向かう。今日はどうやって過ごそうかとワクワク」しながら考えていた。俺の向かっている方角から、アーサーの姿が見えた。どうしよう? まだ、なんだか気まずい……。ここ、隠れるところないし……。いきなり方向転換したら、あやしいよな? そんなことを思いながら、徐々にアーサーに近づいて行った。
「おはようございます」
「お、おはよう……」
ドキドキしながら、アーサーに朝の挨拶をした。
「あ、そうそう。今日は、一日休みだって」
「そうなんですか?」
「うん……」
あやしくないように、俺は最新の注意を払って、アーサーに話しかける。