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十二

「俺、巨乳な人と結婚したいんだけど……」

 本音を言ってみた。これで諦めてくれるかな? アーサーは、少しの間、黙った。

「諦めてください」

 え、えぇーっ! もう、形だけの王妃様になるか? 本人もそれで良いって言ってるし……。

「お願いします。その力……外に出すわけには行かないんです」

「か、考えてみます……」

 アーサーの顔色が明るいものに変わった。

「本当ですね! 本当に考えていただけるんですね!」

「う、うん……」

 えーっと……考えてみるだから、大丈夫だよね? 後で、考えてみましたけどやっぱりダメでしたーとか、やってもいいんだよね? って思ったけど、アーサーが純粋に喜んでいる……。これって、後からダメでしたとは言いにくい……。どうしよう……? しばらく考えてみるが、良い案件が浮かばない。浮かばないから、しょうがない。ここは、必殺、眠いので……で、行こう。

「あの、そろそろ眠いので……」

「あ、すみません」

 俺はいそいそと部屋を出ようとする。

「あの……」

「ん?」

 俺は立ち止まり。振り返った。

「不自由は、させません。なので、考えてみてください」

「……はい」

 やべーよ。アーサー本気だよ……。

「じゃ、じゃあ……」

 いそいで、アーサーの部屋を出た。どうするよ……。本音を言えば、ナーナさんみたいに巨乳の人が好き。結婚するなら、ナーナさんみたいな人がいい。でも、身体は女だしな……。やっぱり、俺が男だって知っているアーサーの方が無難なんだろうか……。でも、アーサーと結婚するってことは、王妃だよ? 仕事たくさんあるよね? 俺、そんな働きたくないしな……。ちょこっと働くだけで、いい暮らししたいな……。

 俺は、いつのまにか辿り着いていた自分の部屋を開ける。やっぱ、あんまり働きたくないからって理由があった方がいいかな? その方がいいような気がしてきた。

 俺は、ベッドへ向かいその場に座った。なんか、目が冴えたな……。朝までどうしようかな。あっ、そういえば回復魔法のこと考えるの途中だった。アーサーが突然、プロポーズなんてするから……。途中で、考えが全部そっちに行っちゃった……。よし、どうせ眠れないなら、回復魔法のことでも考えるか……。えーっと……。どこまで考えていたっけ? あぁ、そうだ大きな怪我のとこまでだ。どうせ、朝まで眠れないんだ。とことんまで考えよう。そうして、夜はもっとふけて行った。

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