十一
「アーサー痛みは?」
「あります」
「ん?」
あっ、やべー。神経を繋ぎ忘れていた……。俺は慌ててアーサーの手を取った。そして、神経を繋ぐ。
「今度はどう?」
「はい。大丈夫です」
俺は、何度もアーサーの怪我したはずの指先と顔を見比べた。
「痛みもありません」
ということは、俺、回復魔法を使えちゃう?
「やったー! 俺、回復魔法を使えるぞ!」
思わずガッツポーズを作る。
「ありがとう! アーサーのおかげだよ!」
俺は、アーサーの手を取り、ぶんぶんと振り回した。
「でも、病気と大きな怪我は分からないなぁ……」
いつの間にか、アーサーの手をぶんぶん振り回すのは止めていた。
「理論的には可能なんだろうけど……」
俺がぶつぶつと考え事をしていると、アーサーの握った手が握り返される。
「ん?」
「やはり、私と結婚してください」
へっ? なんで?
「このような力、もし他の国へ渡ったりしたら……」
「え? いやいや、そんなこと無いから!」
いつもなら、諦めるはずのアーサーが諦めない。
「ただでさえ、よく分からない力を使って強いのに、傷を治す力まで……」
もう、こんなイケメンに結婚してください。なんて言われたら、女の子ならイチコロ!
「ごめん! 俺、結婚は出来ないよ……」
だって、いくらイケメンでも、俺、中身は男だぜ? 見た目が美少女でも中身は男だ!
「ただ、私の傍に居るだけどいいです! 他には、何も望みません!」
「そ、それは……」
どうしよう。はいと言わなきゃ終わらない気がしてきた。
「私の傍に居てくれませんか?」
あー、俺が見た目通りの女の子だったら、マジで美味しい状況だな……。
「ほら、アーサーは格好良いし、何と言っても王子様だし、結婚したい女の子はたくさんいるよ?」
「私は、国の為に結婚しりのです。このまま、貴女の力を野放しにはして置けません」
目当ては力? 美少女な俺じゃないの?
「俺、男だし……結婚はちょっと……」
「貴女のリからが、他国へ渡らなければそれでいいので。結婚してください」
あぁ、目当ては力か……。ここで、他の国では、身を守るしか力を使わないって言ってもダメだろうな……。でも、俺、見た目は美少女だけど、中身は男だし、ずっと結婚なんて無理? できれば、ナーナさんぐらい巨乳な人と結婚したいんだけど……。