十
そういえば……回復魔法って使えるんだろうか? 一度も、それらしい魔法は使ったことないな……。なにせ、女神様二柱と、人類最強? の騎士だし……。使うこと今まで無かった。そう考えると、途端に興味が湧いてくる。怪我に関しては仕組みが分かっているから出来ると思うんだけど……。病気はな……。まぁ、まずは怪我。怪我からやってみようか! って、そのためには、自分で怪我しないとダメなのかな? 俺は悩む。強盗さん、もう一度出て来てくれないかな? まぁ、そう都合よく出てくれるわけないか……。俺は、仕方なく帰ることにした。
んー、でも気になる回復魔法……。あー誰か、犠牲者になってくれないかな……。女神様は怪我なんてしないし……。アーサー? こうなったら、アーサーか! アーサーにちょっと指の先でも切って貰えば、回復魔法が使える! いや、使えるかどうかは分かんないけど、それも分かる! よし! 帰ったらさっそくアーサーに頼んでみよう! 俺は、ワクワクしながら、宿屋へ向かった。
宿屋に着くと、さっそくアーサーの部屋へ向かう。そして、ドンドンとアーサーの部屋のドアを叩いた。
「アーサー俺だよ!」
しばらく待ってみると、ドアが開く。
「どうしたんですか? こんな時間に……」
「とりあえず、入って良い?」
アーサーは、こんな時間に見た目は美少女の俺が、部屋に入って良いか訪ねているので、少し戸惑った。
「あ、変なことじゃないよ。回復魔法を試してみたいんだ」
「かいふくまほう?」
「うん。そう」
俺はアーサーの部屋へ入り込む。まだ、アーサーは良いともダメとも言っていないけど、まぁ、そこは気にしない。
「それでね。指先を切ってくれない?」
「え?」
「早くお願い」
俺は、可愛くおねだりをしてみた。
「分かりました」
アーサーは自分の剣を取り出した。そして、俺の目の前でバッサリと自分の指先を切る。
「これで良いですか?」
血が滴り落ちる様子に、俺は頷いた。すぐにアーサーの指を手に取る。まず、川が切れている状態。そして、白血球が病原体を探してる状態。まずは、出血を止める……。とこれは上手くいったかな? 次は。真皮の結合。そして次は表皮の結合。よし! これで傷がふさがった!
「ほら! アーサーふさがったよ! 痛い?」
アーサーは、ふさがった傷をマジマジと見ている。これで、小さな傷は塞げることが分かった。問題は、大きな傷だ。俺、医者じゃないから、詳しいことは分かんないし……。