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 イシュタムは悪びれもしていない。そうだ。そういう奴だった……。

「みんな……心配してたんだ……」

 声が震える。

「ほえ~?」

「みんな、心配して探してたんだよ!」

 串を口に咥えながら、イシュタムが不思議そうな顔をする。俺は、思わずイシュタムに抱きついた。

「心配したんだから……。勝手に居なくなるし……」

 イシュタムの表情が申し訳ないものに変わる。

「……ごめん~」

 謝罪を口にしたイシュタムは、口から串を取る。俺は、ふと感情が素に戻る。今は俺、女の子だし抱きついても平気だよな……。元の男の姿だったら危ないけど……。今は、美少女だし、イシュタムも美少女だし……。美少女×美少女で平気だよな? イシュタムの手が俺の身体に回される。うん。きっと大丈夫だ!

「そんなに~私の~必殺技の~心配してくれるなんて~」

「はぁ?」

 ダメだ。こいつ……分かってない。そこへ、丁度よくアーサーが来る。

「えっ? 見つかったんですか?」

 慌てて、アーサーが駆け寄った。

「新しい必殺技の練習をしてたんだって……」

 俺は、切が良いということで、イシュタムから離れた。

「そうなんですか……。とりあえず、無事で良かったです」

「無事は無事だけど……こいつ、全然、反省していない」

 イシュタムは、また不思議そうな顔をする。

「そう……なんですか?」

「そうそう」

 アーサーが考え込む。

「まぁ、でも見つかったんですし、良かったです」

 アーサー……。イケメン、マジイケメン! 「まぁ、とにかくもう疲れた……」

「そうね……」

 アナトも俺に同意する。

「え~じゃあ~今日は~お休みってことで~」

「そうね……そうするわ……」

 アナトが立ち上がり、部屋から消えた。俺も、これ以上こいつの相手をするのは疲れる。

「俺も……寝るわ……」

 俺はそう言って、イシュタムのいる部屋から出ていく。なんだよもう……。心配したのに……。必殺技の練習だって! 俺の睡眠時間を返せ! 街中を探し回った時間を返せ! なんだか、安心したのか眠い……。まぁ、必殺技でもなんでも、無事で良かった、別の世界にふらっといってしまわなくて良かった。怒りよりも喜びの方が大きい。知らない間にイシュタムも仲間になっていたんだな……。

 俺は部屋び着くとベッドへ腰掛ける。それにしても、何も言わずに行くなんて酷い。せめて。何か一言、言ってよ……。俺は溜め息を吐く。

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