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 朝、目覚めるといそいでアナトのところへ行った。アナトは部屋にはおらず、宿屋の入り口にある、飲食が出来るスペースに居た。そんなに心配なのに、なんで? なんで、イシュタムを置いていくの? 時間はまだあるよね? 俺はアナトのところへ行った。

「蒼真……」

「俺、諦めてないから……」

 アナトが視線を反らす。

「分かったわ。イシュタムが見つかるまで待つ」

 え? 本当? 本当に待ってくれるの?

「最初は、10年かかる予定だったしね……」

 そういやそうか……。

「でも、気まぐれな女神だから、もしかすると、他の世界に行ったかも……」

 あー、そういやそうだ。俺と弟が間違えられる原因だった……。

「しばらく待って、見つからなければ……」

「そうね……」

 俺としては、どこか他の世界へ行っちゃったなんてことは無いと思いたい。なんで、俺達と同行したのかって聞いたら、ご飯が食べられるからって、言ってたし……。

「うん……」

 俺は、朝ごはんを食べる。アナトが用意していたものだ。この街の名物だろうか? 美味しい。

「それにしても、本当にどこへ行っちゃったのかしら……」

 アナトは溜め息を吐いた。俺も溜め息を吐く。

「ただいま~」

 俺とアナトが声のした方を見る。そこには、イシュタムも姿があった。

「イ、イシュタム?」

「あんた、今までどこへ!」

 イシュタムは、アナトの質問に応えるより先に、俺の食べているものを見る。

「た、食べる?」

 俺が、イシュタムの視線に耐えられなくなり、思わず聞いてしまった。

「うん~」

 そう言うと、イシュタムは俺から食べものを奪うようにして、食べ始めた。

「美味しい?」

「うん~」

 突然帰って来たイシュタム。一体どうしたんだろう?

「そこ行ってたの? って、聞いてるの!」

 あぁ、アナトが切れる寸前だ……。

「ん~」

 イシュタムが何かを考える。

「必殺技~の練習してた~」

「はぁ?」

 あ、その返事は意味分かるぞ。俺も思わずそう突っ込んでいた。

「蒼真が言っていた~ブラッティ・ローズの練習してた~」

「はぁ?」

 今度は俺が突っ込む。

「俺、そんなこと言ってた?」

「言ってたよ~」

 もしかして、あの眠いときかな? 正直に言うと、覚えていない……。アナトがこっち見てる。なんとかしないと……。

「え、えっとー。だとしても言って行かない? 普通……」

「そうなの~?」

「うん……」

 イシュタムは、美味しそうに食べものを食べている。

「もう~全然食べてないから~お腹へった~」

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