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十一

 ゴクゴクとスープを飲む。とりあえず、口の中は潤った。一息ついて、改めてスープを飲んでみた。ん? これ、味がしない? いや、完全に味が無いわけじゃないけど、もの凄い薄味? 野菜と干し肉? 後は塩が少しという超薄味だ。しかも、スープの具も少ない……。これって、病人食? いやでも、パンは硬かったし……。どっちにしても、これだけじゃ足りないからおかわりを頼もう。

「あの、お母さん……おかわり」

 そう声をかけると、お母さん? は嬉しそうな顔をした。

「ちょっと待っててね」

 お母さん? は急いで部屋を出て行く。それにしても、おかわりってさっきと同じメニューなのかな? スープは病人食みたいだけど、パンは違うしな……。なんか、物足りないよな。量も少ないし……ってか、女の子だとあれぐらいで足りるのか? そういえば、女の子って甘いものしか食わないんだよな? 

 すぐに、ドアからお母さんが入ってきた。お母さんって呼んでも否定しなかったし、間違い無いよな。

「もう、これしか残ってないけど……」

 先ほどのパンが二つとスープが俺の膝の上に置かれた。これ、もしかして病人食じゃないとか? 普通の食事? もしかしなくても、食文化が貧しい国なのか?

「ありがとう」

 それでも腹は減ってるし、ありがたくいただく。そういえば、生きていたとき? いや、今も生きているっぽいけど、あの頃は適当に食べたいときに食ってたよな。閉じこもるようになってしばらくは、母親も飯を作ってくれてたけど、いつからか俺の分だけは作らなくなった。いつも、カップ麺とかインスタントラーメン、スナック菓子ばかり食べていた。

「あまり食べない子だから心配していたけど、今日はたくさん食べてくれて嬉しいわ」

「あーなんか色々あったみたいで、なんだかお腹空いたって感じかな?」

 お母さんが嬉しそうに笑う。それにしても、ナーナーさんとよく似ているよな。ちょっとおばさんだけど美人だし……。もしかして、今の俺もこんな顔? だとしたら、すっげー美少女じゃね? 胸は、ナーナさんと比べると残念だけど、アナトには余裕で勝ってるしな。あれだ! もしかしなくても、これからの俺は美少女で人生、勝ち組ってやつか? 玉の輿に乗って、左うちわで好き放題ってことか? ヤベぇ、人生、美味しすぎる……。

「ミーナ?」

 呼ばれて気が付くと、お母さんが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。あ、あやしい妄想が顔に出てたか?

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