五
「あれでも、女神だからね……。その辺の魔獣よりも強いよ」
きっと大丈夫だよな? なんか、心配になってきた。
「俺、ちょっと出かけてくる」
なんだか、ちょっと心配になったので、その辺でも見てみようかな……。
「私も!」
アーサーがそう言った。うん、男前だ。
「私は、戻って来たときのためにここに居るわ」
「うん」
ということで、俺とアーサーはイシュタムを探しに出ることにした。
「私はあちらを見てみますので、向うをお願いします」
「うん、分かった」
いくら女神だからって、心配だよ……。そりゃ、ちょっとというか、かなり変だけど、やっぱり心配。俺はアーサーと分かれて、イシュタムを探してみる。だが、どんなに探しても見つからない。なんだよー。ご飯を食べるために仲間になったって言ってたじゃないか……。それなのに、ご飯も食べないでどこに行ったんだよ……。俺は、そう広くない街を探しまくる。途中、アーサーと出会って、この街の騎士団にも聞いてみたみたいだ。だけど、それらしい人は見ていないだった。
真面目にどこへ行ったのか……。暗くなるまで探したが見つからない。仕方がないから、一度、宿に戻ることにした。もしかしたら。帰っているかも?
「ただいま! イシュタムは?」
「まだ、戻って無いのよ……」
「そっか……」
続いて、アーサーが戻って来た。
「あの、イシュタムさんは?」
アナトが首を横に振る。
「そうですか……」
アーサーも落ち込んだ。
「まったく、どこで何をしてるんだか……」
心配している風にも、イライラしているようにも取れる。
「とりあえず、明日の朝まで様子をみてみよう。もしかしたら、ひょっこり帰ってくるかもしれないし?」
「そうね……」
とは言ったが、誰も部屋に戻らない。宿の人が、先に寝ますと言って消えていった。俺の記憶もここまでで、気がついたら朝だった。
「イシュタムは?」
俺は、目覚めと共にイシュタムはが居るかどうかの確認をした。アナトが首を横に振って答える。
「本当にどうしちゃったのかしら……」
そっか……まだ戻ってないのか……。女神だから、心配は無いんだけど……。イシュタム出しな……。やっぱり心配だ。
「俺、今日も見てくる」
「お願い……。でも、今日見つからなかったら、出発するから……」
「え?」
アナトが悲しそうな顔をする。
「まぁ、相手は女神だし、この世界で、彼女を傷つける者はいないし……」
「そうだけど……」
何かを決意した顔をアナトがした。




