三
「おやすみー」
俺が挨拶すると、軽く頭を下げながらアーサーは歩き出した。俺はどうしようかな……。このままだと、もう一人、イシュタムがやって来そうな予感……。ということで、しばらく待つことにした。そして……一時間が経過した。
「来ないな……」
もう寝たんだろうか……。更に一時間が経過。もう、待っても来ないや……。イシュタムらしいといえばイシュタムらしい。もう、部屋に戻って寝るか……。俺は、寝るために自分の部屋へ向かった。
「蒼真~」
「ん?」
「なんか~眠れなくて~」
振り返った俺の目の前に、イシュタムが居た。
「そ、そう……」
えー、もう来ないと思って居たのに……。
「なに?」
俺は、何事もなかったかのように振る舞った。
「なに? って~別に~用事は~ないんだけど~」
「うん」
「眠れなくて~暇だから~遊ぼ~」
ははっ、今何時だと思ってるんだ?
「うーん、もうちょっと早かったら……」
「何して~遊ぶ~?」
聞いてない。
「もう、遅いから遊ぶのはまた今度」
「えぇ~もう遊べないの~?」
まぁ、ちょっと話すだけならいいかな……?
「ちょっと話すだけなら……」
「やった~」
まぁ。喜んでいるならいいか。
「んー。イシュタムは」どうして、この旅に加わったの?」
「それは~もちろん~ご飯が~食べられるから~」
あ、そう……。イシュタムにそんな高度なことを求めた俺がバカだった……。
「えー、何か他には無かったの? 例えば、俺のこと助けようかなーとか……」
「ないよ~。だって~、一番~強いでしょ~」
「まぁ、そうだけど……」
そんなもんか……。
「あっ~でも~一つ~あった~」
「え? なになに?」
マジ? なんかあるの?
「えーっと~必殺技~が使えること~」
なんだ、そんなことか……。もっとこう、人の為になるようなことだと思ってしたよ……。
「必殺技~に名前をつけて~すごい~カッコいいよね~」
「あーそうだね……」
なんかもう、話すだけ無駄な気がしてきた。もう、寝ようかな……。どうせ、イシュタム」の言っている必殺技って、俺が元居た世界のテレビでやっていたやつだし……。そういや俺も、元の世界では、そんなアニメを見ていたな……。でも、イシュタムみたいに、厨二な名前とか付けてないし……。
「ねぇ~聞いてる~?」
「え? あ、うん」
やべー、聞いていなかった……。なんか重要な話しだったらどうしよう?
「それでね~新しい~必殺技~どんな~名前がいい~?」