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 ふむふむ。良い宿そう。特にお風呂入り放題は、アナトたちの目の色が変わるぐらい気に入ったみたいだ。俺、男だったから、多少は風呂に入らなくてもいいんだけど……。特に、ニートだったからさぁ……。あんまり風呂に入って無かったし……。あ、今はちゃんと入っているよ! まぁ、一人だけどね……。アナトたちと一緒に入る訳にはいかないし、ましてやアーサーとはな……。一応、身体は女だし、心は男だし……。はぁっと俺は溜め息を吐く。やっぱ、一人で入るしかないか……。

 さて、風呂も入ったし、寝る支度もしたし、後は、寝るだけだ! そう考えながら廊下を歩いていた。ふと、アナトの姿を捉えた。

「なにしてんの?」

 アナトが振り返る。なんだろう? なにか思い詰めているような?

「蒼真」

「外、見てるの?」

 俺は、アナトに近寄った。

「んー、半分正解かな……」

 もう、半分はなんだろう? 俺は、不思議そうな顔をする。

「もう半分は、蒼真、貴女のことを考えてた」

 俺のこと? なんだろう?

「俺のことって何?」

「ふふっ」

 アナトが何か意味有りげ? に笑う。

「色々あったなって……」

 外へ視線を向ける。外には、何もない。

「色々って?」

「そりゃもう、色々よ!」

「あー確かに、色々とあったな……」

「でしょ!」

 俺は頷き答える。

「なんで、今頃?」

「なんでって……。任務が終わったらもう、会えないからね……。だから、色々と思い出していたの」

「え?」

 会えない? 今、会えないって言った?

「会えないって、どういうこと?」

「だって、私たちは元々違う次元で暮らしてるのよ。任務が終わったら、そっちへ戻らないと……」

「いや、だって、戻らなくてもいいんだろ?」

 だって、もしアーサーのプロポーズされたら、ここで暮らしてもいいって!

「そうだけど……。でも、ここに残ったとして、どうやって暮らすの?」

「それは……」

 まだ、自分の道も定かでは無いのに、答えられなかった。

「まぁ、蒼真が養ってくれるならいいけど?」

 アナトがいたずらっぽく笑った。

「いいよ。俺が養ってやるよ!」

「期待してるねー」

 こんなことを言っているけど、帰るんだろうな……。帰れば、とりあえず、生活できるもんね……。あぁ、俺、なんで今、財力が無いんだろう……。アーサーみたいにこの国の王子様っていうなら話は別だろうけどさ……。

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