十四
「おかえりなさいませ。お嬢様」
むっ? 執事? 執事だ! もろ執事! 突然現れた執事みたいな老人に胸が躍る。
「ね! あの人、執事?」
「えぇ、そうだけど?」
「そっか……」
執事とか初めて見た。もう、どこからどう見ても執事!
「お嬢様。そちらの方は?」
「ん? あぁ、友達」
服装も執事!
「さようで、ございますか・では、只今。お茶をお持ちいたします」
一礼をして、執事の人がこの場から離れようとした。
「あ、セバスチャン! お菓子も!」
「はい。承知しました」
セバスチャン! セバスチャンって言った? 名前まで執事だ!
「いやー。私、執事を見るの初めて」
「そう?」
「うん」
執事を待つ間、広い居間に通された。ここも凄いや。金持ちって金持ちなんだ。何を言っているか分からんけど、俺も分からん。
「それで、魔法を見せればいいんだよね?」
「うん。ここには、私と執事しかいないから」
まぁ、それならいいかなぁ。執事の人にどこかへ行って貰えばいいだけだし……。そうこうしていると、使徒時が戻ってきた。お茶の入ったティーポットとカップ&ソーサーが乗ったワゴンを押している。そして、丁寧な仕草でお茶を入れ始めた。いいなぁ。執事……。俺も金持ちになったら、絶対に執事を雇いたい……。
執事は、お茶を淹れ、お菓子を置くと、一礼をして去って行く。
「これで、私と貴女だけよ?」
「うん……。まぁ、いいかな……」
俺は水を少しだけ出した。火は危ないし……。風は、調度品になにかあったら困るし……。水が丁度いいかな……って……。
「凄い! これ、私も出来る?」
「H2Oって言ってみて」
もしかしたら、出来るかもしれない。なんだか魔力? をオーラで見ることが出来るんだし?
「えいちつーおー?」
「あっ! 出た!」
本当に少しだけど水が出た。やっぱり、素養があったんだ。
「出た?」
「うん。ちょっとだけど水が出たね」
「ありがとう! 嬉しい!」
本当に嬉しいのか、そこら辺で踊っている。俺は、椅子に座って紅茶? うぃ飲んだ。
「あ、美味しい……」
彼女はまだ踊っている。俺は次にお菓子を食べた。
「これも、美味しい」
お茶もお菓子も美味しい。俺、ここにいてもいいかも? この調子だと、ご飯も美味しそう……。そんなことを考えながら、彼女の喜びが収まるのを待つ。徐々に彼女の喜びが収まってきた。
「じゃあ、私はこれで!」
もう教えることないし……。お茶とお菓子は美味しいけど、おさらばしよう。
「まって!」