十二
「蒼真、どなた?」
「えーっと……その……着いてきちゃった……」
アナトが呆れた顔をする。
「あの、私、ソ^マさんに付いていたいんですけど?」
「え?」
うん。そりゃびっくりするよね。俺も驚いている。
「なんか、オーラが見えるんだって……」
「オーラ?」
アナトが考え込む。
「もしかして……蒼真の魔力?」
「でも、それならアナトたちの方が……」
「私たちは……とこんなところで話すことじゃないわね」
まぁ、そうだな……。
「それで、蒼真の何を知りたいの?」
「その、まほう? とかいうやつ」
アナトが俺を引っ張り、奥へと行った。
「話したの?」
「だって、異世界転生者だと思ったんだもん……」
アナトは溜め息を吐く。
「まぁ。仕方ないわ……。軽く魔法を見せてお帰り願いましょう……」
「うん……」
「あ、ちなみに、彼女はここの人だからね」
「分かった」
俺とアナトが元の場所に戻った。
「えーっと……。じゃあ、魔法を見せるね……」
どんな魔法がいいか考える。あっ、そうだ。ルキウスに教えて貰ったのでいいか。
「じゃあ、魔法を見せるから、見たら帰ってよ」
俺は、小さな水を呼ぶ。それは、小さくて、ほんの少しの水だ。前に、ルキウスに教えて貰ったやつ。ユーリちゃんが使っていた魔法の改良版だ。
「すごーい!」
俺の小さな魔法に感動したのか、すごいを連発している。
「凄いな……。明日も見せてくれる?」
「え?」
明日? 明日も見せて? なに? 明日も来るの?
「じゃあ、明日、楽しみにしてるね!」
フードの女性は、そう言うと踵を返した。
「ちょ、ちょっと!」
踵を返したと思ったら、すぐに目の前から消える。
「ど、どうする?」
俺は、アナトの方を見る。
「どうするもこうするも、彼女が来る前に逃げるしか無いでしょう?」
「やっぱり、そうだよね……」
俺は、動揺するアナトを見た。はっきり言って、俺も動揺している。だって、一回見せれば、満足すると思ったんだもの……。
「あの……宿を変えますか?」
アーサーが突然そう言った。
「ナイス! それ、いいアイディア!」
「なら、次の宿屋を探してきます」
アーサーは、慌てて宿を飛び出した。
「まったくもう……。変な人には気をつけてよね」
「すみません……」
俺はアナトに向かって謝罪する。
「そういえば、女神なのになんでオーラが見えないの?」
「実際は、オーラというか、力の元見たいなの出てるんだけど、この世界の人間には感知出来ないようになっているのよ」