十
オーラ? そんなものあるの? あっ、アナトが魔力が人並みはずれているって言ってたし、それのこと?
「あんんた、誰?」
フードを被っているから、年齢は分からない。ただ、声の感じからすると、若そうな感じがする。一体、何が目的だ?
「私は、ただの通りすがり」
「ただの通りすがりが、何の用?」
これは、女神じゃ無いな……。
「うん? なんか普通とは違う気配を感じてね」
女が近づいて来る。俺は思わず後退りをした。
「そんなに、警戒しなくても良いよ」
いや、するだろう? 警戒しろって、なにかが言ってる気がする。
「本当に、警戒しなくてもいいんだ。らだ、普通とは違うものを感じただけだから」
女がフードを取った。長い青髪がフードから溢れた。
「どういうこと?」
「私は、なぜか分からないけど、人のオーラのようなものが見えてね……。ただならぬ状態のあんたを呼び止めただけなんだ」
どうなんだろう? 信用してもいいのかな? 俺は、ジッと彼女を見つめた。
「それで、呼び止めてどうするの?」
この女の言っていることが本当なら、アナトたちを見たらびっくりするだろうな……。
「別に。ただ、君に興味を持っただけさ」
「ふーん」
「あぁ、ちなみに私の名前は、ミーナ」
え? ミーナって、この身体の持ち主と同じ名前? よくある名前なのかな?
「俺……じゃない、私は蒼真」
名前ぐらいは教えても良いよね? 相手が名乗ったのに名乗らないのも失礼だ。
「ふーん、ソーマか」
ミーナさんが俺をジロジロと見る。もしかして、異世界転生者とかじやないよな? そういえば、見分ける方法が一つある。
「私、魔法を使えるから、そのせいだと思う」
これならどうだ。確か、魔法って言葉は無いとルキウスが言っていた。
「まほう?」
あっ、知らなそう。異世界転生者じゃないのかな?
「なんだそれは?」
「え? なんと言うか……化学式を変換させて、リアルに出すこと」
相手が考えている。知らないってことでいいのかな? でも、オーラみたいなのが見えるって、気になる……。
「その、まほうってやつが、私が見ているものの正体か?」
「たぶん……」
「そうかそうか。長い間、謎だったものが溶けたよ。まほうと言うものは理解していないが……」
教えちゃって良かったんだろうか? この世界の住人らしいし……。とりあえず、アナトにバレない方がいいだろう。
「うん。ちょっと難しいかもね。それじゃあ、私は用があるからこれで!」