七
一瞬、不思議そうな顔をするアナト。
「えっ? ではなぜ、ここに?」
「最初に言っただろう。ちょっと暇になったからね。話題の秋鹿蒼真を見に来ただけさ」
ん? とうことは、帰っちゃうの? ここで旅は終わりじゃないの?
「じゃあ、待っているよ」
眼の前の上司? が手を振る。
「え? 待って!」
「ん?」
「俺のことは?」
「君のことは、本部に来てからだ」
「なんで?」
俺としては、今ここで終わるのが望ましい。
「なんでって……君が破壊したものは、本部でないと再生出来ないからだよ」
「そんな……」
「と言うことで、本部で待っている」
眼の前の上司がニッコリと笑う。
「それでは、頑張ってくれたまえ」
俺、一瞬、本部の人が来たならこれでおわりかと……。一瞬、喜んっじゃった……。
「うぅっ……」
アナトが俺の背中を叩く。
「俺……もう、これで終わりかと……」
「まぁ、仕方が無いわね……」
「俺……俺……」
思わず泣きそうになる。まだ、あの辛い日々を過ごさないとならないと思うと涙腺が弱くなる。もう、歩きたくないよ! 歩くのどれだけ大変か! アーサーはいいさ。文明と接触無く育ったんだから! 女神二柱はどうだか分からないけど、きっと疲れにくいんだ。俺だけ、大変なんだ!
「まぁ、歩きましょう」
「うん……」
仕方がないか……。歩くか……。すっくと立ち上がり、仕方がなく歩き出す。
「上司って人が来たとき、これでもう終わりかと一瞬、思ったよ……。なのに、まだ歩かないといけないなんて……」
まぁ……。仕方がない歩くか……。俺はトボトボと歩き出す。残りの三人も歩き出した。
「それにしても、なんで本部? に行かないとダメなの?」
「あれは、この世界に転生したけど文句ありません。って書類なの」
「ほえー。そんなもんのために?」
なんか、もっと大切なものかと思ってた。だって、本部? に行かなきゃダメだって言うし……。
「まぁ、蒼真にとっては、そんなもんかもね」
「そうだね。なんで本部? に行かなきゃいけないのか分かたないよ……」
「まぁ、それだけ、作るのが大変な書類ってことなのよ」
「ふーん。よく分かんないや」
だって、ただの白い紙だったよ? 書類って言われてもピンッと来ないし……。
「まぁ、要は私の責任じゃないよってことを書いてある書類」
「それは、作りに行きたいよね……・
「そうね……」