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 俺は、ワクワクしながら歩いた。歩いた。歩いたんだけど、いつ着くの? もう、辺りは暗くなってきたよ? ねぇ、いつ?

「アナト……いつ村に着くの?」

「もうすぐよ」

「さっきから、そればっかり……」

「そう?」

 ダメだこりゃ……。俺、もう無理……。

「着いたわよ」

 本当? 本当に着いた?

「今夜は、ここで過ごしましょう」

 やったー。やっと着いた! アナトがこの先って言ってから、何時間歩いたことか……。ここでも、アーサーが以下略……。

「ねぇ。アーサーは何でこんな村でも宿が取れるの?」

「帝国騎士団員だからです」

「ほえ?」

 騎士団だと、こういう小さな村でも泊まるところが確保出来るの?

「まぁ。絶対的な身分証を持っているということです」

「ふーん。そっか……」

 日本で言えば、役所の人みたいなもんかな? まぁ。何にせよ、寝泊まりに不自由しないのは、いいことだ。俺は、安心して寝る準備をする。


 うーん……。昨日、歩きすぎたせいか、今日はちっとも歩いている気がしない……。もう、疲れた。休もうよ……。というのをアナトに提案しようとしたところで、アナトが立ち止まる。

「どうしたの?」

「え? あ、ちょっと……」

 ん? 向うから誰か歩いてくる? 女の人? 誰だろう? なんだかアナト、あの人を怖がっているような?

「あ~上司だ~」

 嬉しそうにイシュタムが手を振る。相手の女性も手を振り返した。段々と近づいてくる。肩までのヘアを後ろで一つに纏めた黒髪のスラリとした女性だ。

「上司~」

 イシュタムか上司と呼んで抱きついた。

「いつまでも子供見たいだな……」

 上司がイシュタムを抱きしめた。

「い……イル様? なぜここに?」

「うーん。ちょっと暇になったからね。噂の子を見にね」

「あ、はい!」

「この子が秋鹿蒼真?」

「です」

 なんjか、アナトが慌てている?

「で、こっちのイケメンは?」

「あ、そちらは、蒼真の世界のことを知っているので、護衛とかに良いかなって……」

「ふーん。そう」

 ジロジロとアーサーを見る。

「はじめまして。アーサーと言います」

 アーサーは、たじろぎもせずに挨拶をした、すごいな。さすが王子様。

「あら、礼儀正しいのね!」

「えぇ。それはもう!」

「まぁ、いいわ。それより、書類を壊しちゃったんだって?」

「ひっ!」

 アナトがびくりとした、

「だ、だから……蒼真を連れていこうと……」

「まぁ、もう一度、あれは作れないしね……」

「はい……」

「じゃあ、待ってるわ!」

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