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「お姉ちゃん?」

 そう答えると、ナーナさんの表情が一瞬、固まる。その後すぐに、また抱き寄せられて柔らか殺人兵器を味わうことになる。

「くる……しい……」

「あ……」

 ナーナさんが慌てて俺を離す。そして、涙を浮かべながらとても嬉しそうな笑みを俺に向けた。

「ありがとう。これで夢が叶ったわ」

 夢が叶うって……。お姉ちゃんって呼ぶのが、そんなに凄いことなんだろうか?

「あ、そうそう。お父さん達も心配してるから、早く顔を見せてあげようよ」

 そう言い、ナーナさんは俺の手をつかむとドアへ向かって歩き出した。いいのか? 未だによく分かってないけど、このまま家族? に合っていいのか? 何の情報も無いし、ボロが出たらどうするんだ?

「あ、あの、お姉ちゃん……」

 俺の言葉に、ナーナさんは立ち止まると振り向いた。急に立ち止まったので、俺は勢いでぶつかってしまう。

「なに? どうしたの?」

 嬉しそうに目を輝かせて、ナーナさんは俺を見た。

「あ、あの……なんだかまだ、体調が……」

「え? つらい? そうだよね。死んでたんだし……」

 そういえば、俺というかこの身体の持ち主も死んでたんだっけ……」

「分かった。じゃあ、父さん達には後でこっそり見に行くように言っておく。だから、ミーナは横になってて」

 今度は、ベッドに向かって俺の手を引いていく。なんだかちょっと違和感があるだけで体調は何ともないんだけど、まだ状況が分からないのであまり多くの人とは接触しないほうがいい気がする。

「ありがとう」

 ベッドに横たわりながら、感謝を伝えた。すると、ナーナさんは、また驚いたような顔で俺を見る。もしかして、元の人って礼も言わないとかだったのかな?

「ゆっくり休んでね。後でご飯を持ってくるから」

「うん……」

 ナーナさんは、何度か振り返りながらドアへと向い、ゆっくりと部屋から出て行った。

ドアの閉まる音が、少し寂しげに聞こえた。

 ナーナさんが居なくなって、もの凄く静かな部屋でジッと天井を見る。まぁ、部屋の中には何もないって言っても間違いじゃないし、どう考えてもテレビやパソコン、スマホなんて無さそうだ。早い話が、他にすることがないってことだ。

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