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大根王子 七

 北門を抜けて街を出たアルベルトは、野盗が残したと思われる大量の足跡と馬車の車輪の跡を見ながら北に歩いて行った。

(まだ近くにいるかもしれない)

 静かに追跡を始めて三時間ほど経っただろうか、日もだいぶ暮れてきて足跡も見辛くなってきた。野盗のアジトは思っていたより遠いようだ。少し休憩した方がいいかもしれない。アルベルトは休めそうな場所を探しながら歩いた。

 やがて前方に少し灯りが見えてきた。左の森に少し入った所で誰か焚き火をしているようだ。アルベルトは森に紛れながら静かに近付いた。先程街で見かけた野盗だ! 二人組の野盗は片方がこちらに背を向けて食事をしていて、もう片方は焚き火を挟んで反対側で寝ているようだ。焚き火のパチパチという音で少しくらいの足音はかき消される。今がチャンスだ。

 アルベルトは森から静かに出て食事をしている野盗の後ろから剣を刺した。まるで水の中に入れた木の枝を動かすように剣は抵抗なく動き、野盗を死に至らしめた。凄まじい剣の斬れ味にアルベルトは寒気がした。

 吹き出た野盗の血が焚き火にかかり弱まった火が揺れ動いた。寝ていた野盗がむにゃむにゃ言っている。アルベルトは寝ていた野盗に馬乗りになって剣を突き付けた。目覚めた野盗は寝ぼけながらアルベルトを見返したが、血の匂いに気付き死んだ仲間を目にして震え上がった。

「お前らのアジトはどこだ?」

「ひっ! ひっ?」

「ここからどれぐらいかかる?」

「こ、ここから北に半日くらい行って、西の森に入ったところです」

「お前らのボスは誰だ? 爆撃したのはお前らか?」

「ひっ、うう」

「どうせ死ぬんだ早く言え」

「ガ、ガラハドです。ボスはガラハドです! 新しい仕事仲間が爆撃したらしいけど下っ端だから詳しいことは知りません」

「爆撃? 誰がやったんだ?」

「わ、わかりません。その連中にはまだボスしか会ったことがないんです。そいつらが爆撃した後適当に北エリアから街に入って金目の物を盗んで引き上げろって言われてました。お、お願いだ殺さないでくれ」

 アルベルトは何も答えず野盗に剣を突き立てた。野盗と組んだ集団が街を爆撃だなんて馬鹿げているが、もしこの話が本当なら、こんな危険な奴を放っておく訳にはいかない。手段もよく分からないが鳥が爆発したように見えた。何か普通じゃないことが起きている。アルベルトは死体を森に隠して食事を取り横になると、焚き火の暖かさで緊張の糸が切れたのかすぐに眠りに落ちた。

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