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楽園解放 八

『第四章

 クジラの女性とドミトリは商船に乗って本土までやって来ました。占い師のオルスが恭しく頭を下げ、王様の所まで案内しました。王様はクジラの女性が来ると、立ち上がり、横に跪いて玉座を彼女に譲りました。

「私はユリ・ファルブル。北大陸の王家の一族の者です。父の命を受け、今まで海賊達が北に来ないように進出してきた海賊達を倒していましたが、ドミトリ王子が海賊達を一つにまとめてくれたおかげで海賊達を一網打尽にできました」

 ドミトリはポリポリとおでこをかきました。

「上手くいきました。これでいよいよあなた達と正常に外交を行う事ができそうですね」

「もちろんです。この事はお互いの利益にかなうでしょう。私達は喜んで北世界と国交を深めたいと思っています」

 王様は頷きました。王様は海賊に頭を痛めていましたが、ファルブル家の者に手紙を書き、こうなる事を見越してドミトリを旅立たせたのです。

「息子も少々痛い目に遭ったようですし、その……あなた様に決して敵意があった訳ではないのです。力試しをしてみたかっただけと言いますか。若気の至りという事でなにとぞご配慮をいただけると……」

「何の事でしょう? 私はただ海賊達を倒しただけです」

 ユリは微笑みました。王様は感謝して深々と頭を下げました。

「もうすぐ私の父、フェルトの王から連絡が来るでしょう。私にできるのはここまでです。あとは北世界の王達と交渉してください」

「分かりました」

「ドミトリ王子も、少しは懲りましたか?」

「いえ」

「え?」

 ドミトリは目をキラキラさせて言いました。

「俺はますます世界に興味が湧きました。こんなに強い人もいる。もっといろんな国がある。俺はもう一度冒険の旅に出ます。海賊ではなく、一人の冒険者として」

 王はため息をつきました。ユリはニッコリと微笑んで立ち上がりました。

「それは良かった。私も国に帰るのにボディーガードが一人欲しかった所です。地上で何かあった時にいちいちクジラになっていてはあちこち壊してしまいますから」

「え? じゃあ」

「一緒に行きましょう。北世界に」

 こうしてドミトリの新しい、本当の冒険が始まるのです。とても強力な、美しい魔法使いと共に。

第四章、そして第一巻、終わり。』

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