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黒7

 しばらくして、シャルロッテは王宮主催の夜会に出席することとなった。

 主目的ではないが、アルフォートとシャルロッテの婚約を正式発表する機会であった。

 発表とはいうものの、大々的な発表ではなく、ほんのりと匂わせる程度だ。仮初のものであるのでシャルロッテにはそれで十分だと思っていた。それ以外にも事情があるような雰囲気がある。


 やっと、と口を揃えて言う割には、あまり好意的な印象はなかった。当然だろうとシャルロッテも思う。マーリン家は有力な貴族ではあるが、誰もを黙らせる程の力はない。それは、容姿、様々な才能どれひとつとっても同じように言えることだった。

 まあ、誰が隣に立っても、全力で扱き下ろすのがこの国の人間なのだということはこれまでの間に散々思い知っていた。

 

 池の一件以降も、細かい嫌がらせは度々起こっていた。今日もさぞかし斬新な()()を受けるのだろうと覚悟していた。案の定、料理や飲み物を何かを思いつめた表情で手にしたご令嬢や、会場の床に何か恨みでもあるかのような足どりで、凶器のようなヒールを履いたご令嬢が近寄ってきたりなど、大変に注意力を鍛えていただいた。


 それを、困らない程度に受け、実行後、咎められて顔を青くする彼女らに、なぜ感情任せに行動してしまう前に後先を考えないのかと不思議に思っていた。しかし、どうやら、周囲の反応をこっそりと伺うと、悪意の対象となっているシャルロッテにも非があるように思われているようであった。どういう理屈でそうなっているのだろうと不思議に思うが、それが常識のようであった。むしろ、実行犯であった彼女らへの咎というのは、奇襲に失敗したことらしいようだった。


 他の客がアルフォート等へ挨拶するのを傍で作り笑顔で聞きながらそんな事を考える。

「どうせなら、楽しいことを考えておけ。」

とアルフォートが周りに気づかれないようにそっと囁く。

楽しいこと……。言われて改めて考えてみるとシャルロッテにとって楽しいことというのは特に思い浮かばないのであった。より難問に挑むシャルロッテへ

「俺もだ。」

楽しいことなどないと口では言いながらアルフォートは()()()()()言い、シャルロッテをダンスへ誘う。

 シャルロッテも踊りながら、楽しいことを1つ見つけた。


☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・


 後日、夜会を踏まえて、シャルロッテは、真の王妃の有力候補について考えていた。


 夜会にはコロナリナ達も出席していた。が、彼女らはシャルロッテの姿を見るだけで恐れ、目があうと、石になったかのように固まっていた。夜会の時、彼女らは近づくどころかこちらに対して特に何もしてないようだった。


 従順な様子で何よりと思い、シャルロッテはコロナリナを呼び出すことにした。


 今度はきちんとシャルロッテの名前で、ご都合がよろしければ是非とも個人的にお話したいをいう意のお手紙を送ったのだが、どのように解釈したのかすぐに返事がきて、コロナリナは真っ青を通り越して白い顔で現れる。

「ごきげんよう、シャルロッテ様。」

ぜんぜんご機嫌よろしくなさそうであった。その様子を見て、シャルロッテはコロナリナに体調などを問うが、特に問題があるわけではなさそうだった。

 気にしないことにして本題へ入ることにした。

「コロナリナ様は、どなたが王妃にふさわしいと思っていらっしゃいますか?」

と。

「当然、シャルロッテ様を置いて他には」

媚び媚びの答えをシャルロッテはぶった切って

「そういうのは良いのです。わたくし自身そう思っておりませんので。」

「なんでよ! 嫌味なの!? せっかく王妃の座ゲットしたのに!」

コロナリナが叫ぶようにいう。言った後、はっと顔色が変わり、椅子から立ち上がり、

「もももも申し訳…」

謝罪の言葉を遮り

「そのままでいいわ。というと、コロナリナ様は王妃になりたかったのね?」

シャルロッテも口調を崩し問うと

「リナって呼んで。私は王妃になるのよ! 今も諦めてないわ!」

とむねを張っていう。シャルロッテは、絶対無理と心の中で思いながら見つめる。

「王妃の素質とはどのようなものと?」

問うと

「決まってるじゃない。」さらに胸を張る。「美しいことよ!」

シャルロッテにとっては思いがけない答えだった。だが、少し考えて納得する。コロナリナは自分で言うだけあって、確かに美貌だけなら誰にも引けを取るまい。流れるようなピンクブロンド、透き通るような白い肌に、砂時計と称されるようなプロポーション…。

 つまり、ただ単に自分が優位に立てる条件というだけであった。「美しさで、アルフォート殿下をメロメロにさせて落とすのよ!」と力説していたが、メロメロになるアルフォートの姿をシャルロッテは想像できなかった。

 そして、シャルロッテは、コロナリナに話を聴こうと思ったことを後悔しはじめていた。

読んでいただいてありがとうございます。

ツッコミ入れたかったので、シーンの途中できってみた。

「シャルがメロメロのアル知らなかったら誰も知らないよ!」

なんだか想定よりも糖度が上がってます…。

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