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黒6

ブクマ登録ありがとうございます。

 「というわけで、ルフィールにはシャルロッテ=マーリンの護衛の任務を命じる。」

アルフォートは、諸々の手続きが終わってからルフィールに命じる。

事後承諾で強引な異動だが、慣れているため従弟は、「ふぁーい」というやる気のなさげな返事をする。早朝に呼び出したせいかもしれない。

「いいか、頼んだぞ。シャルロッテに何かあったら、同じ目に遭わせてやる。」

軽くプレッシャーをかける。「怪我を負わせたらその場所に傷を…。誇りが損なわれたり命を失うようなことがあれば… わかるな?」ルフィールは一瞬で眠気が吹っ飛んだような顔をしていた。

「でも、アルぅ」

「気安く呼ぶな。」

「うう、アルフォート殿下ぁー なんでオレなのさー。」

ルフィールは不満げに言う。「オレよりスゲーやついっぱいいるじゃーん」と。

アルフォートは少し考え、先日のシャルロッテへとの会話を思い出す。

「お前なら信用できるからな。」

ルフィールは赤く大きくて丸い目をぱちくりとさせる。そして、

「アルに認められたー!!!」

先程までの不満げな感じが一瞬で消え去っていた。実に単純な男である。

一方で、シャルロッテの反応が、なぜかあのようにプレッシャーを感じていたようなのがアルフォートには不思議であった。

「アルと、呼ぶな」という声が届く前に、部屋を飛び出して猛ダッシュで走っていた。まあ、話は終わっていた。そして、行き先は、ここからすぐ近くの部屋、彼の兄ノワーゼの所だろう。


 少しして、アルフォートは、寝不足気味の不機嫌そうなノワーゼの顔を見ることとなる。「何を企んでいるのです。」と目で訴えていた。


 当面の問題は、この兄弟に任せておけばひとまず安心できそうであった。

 シャルロッテは、今後命を狙われることが多くなるだろう。実はもう既に狙われていたことがあったのだが、早期に発覚し、首謀者共々さくっとアルフォートが内々に処分した。刑罰自体はそれほど重いものではなかったが、不祥事が広まりあっさり失脚していったのだった。

 ルフィールは、武も優れているが、何よりも直感が鋭い。特に、命を狙われるくらいの事件を察知する能力に優れている。

 そして、兄のノワーゼは、事件を()()()するのが得意なのであった。ルフィールが事件を未然に察知し、それをノワーゼが不発に終わらせたり、失敗させたり、事件が起こってしまっても、最悪の事態にはならないようにするのが定石だ。

 また、ノワーゼは兄弟姉妹に甘い。事件が起こったとして、ルフィールに関することとなれば最優先で取り組むだろう。


 現状、アルフォートを取り巻く環境はそれほど良好ではなかった。

 何とかシャルロッテとの婚約は認められたものの、何とかできる余地があると考える者は多いようだった。そういった意味でもあの兄弟を味方にできたことは重畳であった。


☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・


 後日、アルフォートの紹介で、ルフィールはシャルロットに会うこととなる。

 ルフィールは、シャルロットをどこかで見たことがあるような気がしていた。

 そう問うとシャルロッテは、噂はかねがね伺っておりますが実際お目にかかるのは初だと答える。ルフィールはシャルロッテ=マーリンについての噂は特に何も聞いたことがなかった。マーリン家についての噂は色々と聞いたことがある。何か、色々と有名だった! あと、アルフォートが昔ものすごく気にかけている少年がいた覚えがある。

 そんなことを思いながら、護衛対象の少女をルフィールは見ていた。見た目も、無表情な子だなー と思うくらいで、特に変わった感じもしない。ものすごい美少女とか、あるいは逆という印象もない。さすがに、「目立たない女だな!」と口にしないだけのマナーくらいはあった。が、ルフィールは、思わず(なぜ、アルがこの子を選んだのだろう)とじーっと伺ってしまう。

 シャルロッテはそのルフィールの無言の問いに

「アルフォート殿下にとって()()()ご都合がよろしかったのでしょう」

と微笑み答える。

 それで、ルフィールはようやく思い出していた。アルフォートのお気に入りの少年の名前を。確かシャルだった! それでピキーンと線が繋がる。


 当時、アルフォートはよくシャルという愛称をもつ少年の話をしていた。年下だが優秀で、勤勉であると。ただし(お前よりもな)という皮肉げな余計な言葉がついていたが。アルフォートは、シャルを実の弟よりも可愛がっていたように思った。

 (といっても、アルは自分の弟だってそんなに可愛がっていないけどさー。)

実際は、可愛がってないと批難される程ではないのだが、ルフィールの基準は、溺愛兄(ノワーゼ)なので、余計にそう見えるのであった。

が、それを差し引いても、アルフォートは誰に対しても冷たいところがあった。だからこそ、ルフィールは気になって覚えてたのだ。あのアルが褒めるよーな奴ってどんなやつだろー って。


(でも、一回も会わせてくんなかったー!)

 ルフィールは不満げに思う。

 遠くから見かけることくらいはあった。目の前の彼女と同じように、貴族としては珍しい黒い髪の黒い目だった。

 しかし、シャルロッテに余計な口をきくなという命令をルフィールはアルフォートから受けていたので、この場では”シャル”の正体を明らかにはできなかった。


 一方、シャルロッテからすると、ルフィールは概ね好印象であった、護衛でなければ。護衛にしては容姿も性格も目立ちすぎるような気がする。人々に好印象を与える綺麗に透き通るような金髪で、しかも、身長も高い。

 性格も、騎士や軍人などにしては、とてもわかりやすい性格のようだった。この短時間でも、表情がくるくると変わっていた。少なくとも、隠し事や隠密行動には全く向かない人物ということははっきりとわかった。

 

 何を考えているのかわからない、と実の親からも言われるシャルロッテからすると、眩しいほどに羨ましい人物であった。

 

読んでいただきありがとうございました。

外側だけ作って、中身このへん、今必死になって作ってるのは内緒だぞ☆

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