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黒25


「オレは男色の気はないからね」

宰相が出て行った後、ルフィールはぽつりと言う。ああ、そういえば、ルフィールには申し訳ないことをしたと思い、

「そうですわね、ルフィール様のお気持ちというものもございますね。失礼致しました。」と素直に詫びる。あのような男と組み合わせるのは冗談でも申し訳ないことであった。ルフィールは少し考えて

「好みのタイプは、長い金髪で胸の大きいかわいらしい年上の女性」

とルフィールは謎の主張をする。見事にシャルロッテとは真逆な女性であった。まったく興味がなかったが、ふと1人の女性の姿が思い浮かぶ。

「エリーゼ様のような?」

と。すると、蒼白だった顔が更に白くなる。まるで、適当に放った石が貴重なガラス細工に当たってしまったかのように。どうやらそれも禁句のようであった。

「シャルロッテ様は何かオレに恨みでもあるの?!」

とルフィールが泣きそうな顔で叫ぶ。シャルロッテは今度こそ間違いなく失言であったと思い心から詫びる。

「そのようなつもりではなかったのですが」と。「あのようにお可愛らしい方を他には知りませんので」とシャルロッテが言うと、ルフィールが

「まさか好きなんじゃ…!」

と詰め寄る。必死の形相に、シャルロッテは驚きながらも、なぜ、エリーゼ様を好きあってはならないようなことのように言われるのか疑問に思いながら、

「え、ええ、まあ。」

と曖昧に肯定の言葉を発すると、ルフィールがなんということだという表情を浮かべる。何かとてつもなく大きな誤解をしているような気がして、首をかしげつつシャルロッテは、

「憧れなのです。あのようなお方になれればよかったなと」

少し笑いながら言う。「そっちかー」と幾分誤解が解けたようで、ルフィールは落ち着きを取り戻す。何か大きく安堵したように胸をなでおろす。

「とにかく、どのような女性の誘いも男性の誘いも乗らないようにお願いいたしますよ! アル以外。」と念を押すように言う。女性もダメなのかと思うが、確かに前例があったので、その言葉は飲み込む。護衛としての役割にしては何だか別な感情が入っているような気がしたが、

「ルフィール様にそのようなことを言われなくとも」と言い、誘う者などおりますまいと心の中で呟く。



 その後、何度も宰相は現れ、シャルロッテへ婚約解消するよう持ちかけてきた。

 その代償も手を変え品を変え、あらゆる手段を持ちかけてくる。苦渋の決断のように、「では、ノワーゼ様ではどうか」と言い出した時には、我を忘れて怒り出すルフィールを止めるのに苦労した。


「あんな方が我が国の宰相だなんて!」とルフィールが言うのをシャルロッテは苦笑して

「あの方のお父様が素晴らしい方だったのですよ」と言いながら思い出す。

 その人は本当に素晴らしい方だった。旧家と称する方々をまとめていた人だった。が、言動が行き過ぎる者をたしなめ、良からぬ考えを持つ者に、もうそのような時代ではないと制する人であった。

 彼の息子である、現宰相を思い出す。当時からあのような方だっただろうかと。

「能のない方ではないのでしょうけれど…」と言う。「ただ、たまに欲に目がくらむとあのように状況が見えなくなってしまう方なのでしょうね」と。

 今回の場合であると、力へ自分の手が届く状況になってしまったことが原因であると。それを叶えることしか頭になくなってしまったのだろうと。


 こうなってしまうと、どのような手を取るかわからないので、「既に、ご存知であるかもしれませんがノワーゼ様にもお話を」というとルフィールは明らかに、しょんぼりとして

「にーちゃん、今いないんだ…」と言う。

急遽、隣国へ行くことが決まったということだった。

それで、シャルロッテは色々察する。この護衛が、近頃、庭に放し飼いとなっている犬のように、のびのびとしている理由や、急に、宰相が話があるとやってきて、焦るように、あのような話を持ちかけてくる訳も。

「なるほど」とシャルロッテは呟く。「すると、アルフォート様も…」

その言葉にルフィールは頷く。


「にーちゃんがめっちゃ切れてた、出かける前、静かにめっちゃ怒ってた。」

どうやら相当強引な形で話を持ったらしかった。


つまり、アルフォートが隣国に行っており、ノワーゼも同行している、というのが正しい状況なのだろう。

 それで、突然アルフォートが来なくなったわけか、と思い

 そして、それで、マーガレット=アルギランセマムか、と思う。


 マーガレットは、あの宰相の娘であった。そして、今、貴族の間で一番の話題である、アルフォート殿下の新しい婚約者である。もちろん、それは正式なものではないが。

 

 つまりはこういうことか。殿下のいないうちに、シャルロッテを婚約者の座から追い出し、代わりにマーガレットを据えたという状況を作ってしまおうという魂胆かと。


シャルロッテは、強引に事を進めても上手くはゆかないだろうにと思いながら、シャルロッテは窓の外を見つめる。

読んでいただきましてありがとうございます。

これが宰相と話した直後からそれ以降のシャルのシーン。

ルフィールの勘違いはまだ続いてる。

ルフィールの心情からすると、宰相のシーンから


「え、ちょ、待って、このおっさん、何言い出すの、やめてー」という焦りから

「絶対そんな気ないってアピールしとこう。」というのが、シャルからすれば謎の、金髪年上巨乳の女性が好きアピールで、それが偶然、エリーゼ様の特徴に合致してしまっただけなのでした。

 気なんてちっともないです。そのような話題をするのもおそろしいことなのに、あてつけかよ、ってちょっとイラっとしたシャルロッテがさらっと言ってしまって、しかも、ルフィールからすると、男であるはずの、シャルが好きってー! それどういう意味なのー! と。

 憧れという回答から、シャルロッテは女性の姿を好む人なんだ! という納得の仕方をしたのでした。

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