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黒21

 気が付けば、カルミアからの茶会の招待がぱったりと来なくなった。

 茶会自体は開かれているようだった。

 シャルロッテも他の用が結構あったため特に気にしていなかったが少し楽しくなり始めていたので残念なことではあった。

 用が済んだのか、あるいは、もうひとつの可能性を思い浮かべる。カルミアにとって邪魔な存在になったか。


 どうやら、あの会の中で、カルミア達に反発するものが出始めているようだった。元々内心では快く思っていなかったのだろうが、シャルロッテの存在によって立場をはっきりさせはじめた、というのが正しいのだろう。

 そのような方々から、内密にと個人的なお手紙をいただく機会が増えた。これまでのような「貴女を決して認めませんわ」というような熱烈な想いを告げるお手紙とか「いついつのどこそこへいらっしゃい」というような大歓迎を予見させるような招待状とは違った意味で迷惑であった。

 内容は、シャルロッテ様を応援させていただきたく思うという文から始まり、ご不満はございませんか、とか、カルミアをどのように思うかなどと聞いてくる。

 要するに、自分は、あのような者たちとは違うという、アピールであろうと。それから、矢面に立って気に入らない連中を成敗してほしいという話なんだろうと。

 これまでは、しれっと同じ揃いの服着て同じ顔で笑っていたのに、それは本意ではなかったかのように、あるいは、記憶から抜け落ちてしまったかのように、シャルロッテの方へ擦り寄ってきているのだ。

 シャルロッテは、カルミアの実力を認めていた。あのような個性あふれる面々をまとめ、あの人数を従えているのはすごいことだと純粋に思っていた。

 そのように答えるが、彼女らは納得せず、「シャルロッテ様の方がふさわしい」「わたくしがお支えいたします」などと言ってくる。

 シャルロッテは正直なところあのような集団の中心になんてなりたくなかったので、「カルミア様だからこそであって、わたくしでは到底つとまりませんわ」と丁寧に固辞する。そして、やりたきゃお前がやれよ、というセリフに、丁寧にラッピングを施して華美に装飾して、なおかつ冗談に聞こえるように伝えると、相手は、照れて「滅相もございませんわ、わたくしなど」のように真に受けるようだから恐ろしい、現品をそのまま突きつければよかったかとシャルロッテは思った。

 そういうわけなので、シャルロッテからしてもカルミアの茶会から一旦距離を置くことは悪くないことだった。


 また、アルフォートの本来の婚約者についても考えていた。カルミアであれば問題ないのではないかと。

 アルフォートが国をまとめ、妻であるカルミアが淑女をまとめる、それぞれの得手で補い合うような、全く悪くない取り合わせであるように思えた、他人であればそのように考えるであろうと。

 しかし、その想像をした時、シャルロッテは微かな違和感があった。それは立場に対する未練や情による個人的なものなのか、それとも、別な要因があるのか。

 軽く頭を振って忘れることにする。皆から完璧な淑女と呼ばれる女性ならば、アルフォートと共に並び立つものとして間違いはなかろうと。

 そのように報告書をまとめ、封筒に入れる。

 アルフォートに渡すよう伝え、ルフィールに預けた。

 最近、なかなか会って報告する時間が取れず、このような形で手紙を送っていた。ルフィールが、その兄であるノワーゼに渡して、ノワーゼからアルフォートに渡っているらしいが、報告があがっていないと返信(苦情)がこないところを見るときちんと伝わっているようであった。

 ルフィールは返事がないことに疑問を持っていたようだが、「お忙しいのでしょう、伝わればよいのです」といって微笑む。

 実際アルフォートも忙しいようであった。ここのところご機嫌よろしくない日々が続いているという話をノワーゼ経由でルフィールから聞く。非常に難儀していると。そのように言われてもシャルロッテは苦笑するしかなかった。

 そもそも、婚約者という立場ではあっても、アルフォートの私室に行って報告できていたことがあまり外聞のよろしいことではなかったのだが、シャルロッテも今更気にしていなかったし、アルフォートは尚の事気にしていなかった。

 だが、そのような機会ももう訪れまいとは思っていた。


 そんな頃、カルミアから久々に茶会の誘いが来た。


本日も読んでいただきまして誠にありがとうございます。


 シャルロッテ目線からだと入れにくい情報なのですが、シャルロッテとアルフォートがなかなか会えない原因は議会のせいなのでした。会う機会なくせば気持ちもなくなるだろうと、どうにかこうにか別れさせようと頑張ってる人たちがいるのでした。

 さらに、アルフォートの過去の言動で、女なんて誰でも一緒だろ的な発言をなさっていて、そのこともあって「特定のお方に心入れなさいますまい」みたいなことを思われている感じ。


 そんなわけで、めっちゃ不機嫌Maxで、ほぼ常に近くで補佐してるノワーゼが大変困っているのでした。

ノワ「殿下、そんな不機嫌になられても困ります」

って言っても、アルフォートはジロリと見る程度みたいな。

ノワ「華やかな場なので相応しくお願いいたしますよ」で笑って「シャルロッテ嬢もそのようにおのぞみでしょう」と。

 アルフォートは不機嫌100%の声で、支度しろ、と一言いって、でも仕事はちゃんとする。

そんな風にたしなめたり、わざと煽ってみて八つ当たりさせてあげたりして、ガス抜きしてやってる、いい性格しているノワーゼさんです。


 会えないことにも、会いたいと言ってこないシャルロッテにも、むーとするくせに、かといって、殿下はわたくしとの時間作ってくださらない、みたいにさめざめと泣くような女は鬱陶しがる気がする。


 という状況で…。

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