黒1
ストーリーは完成してます。文章は完成してません。完結目指して頑張ります。
「シャルロッテ嬢、婚約関係を終了させよう」
優雅に微笑み宣言する王子アルフォート。そこに寄り添う1人の女性。
その姿はまるで1つの芸術品のように美しかった。
シャルロッテは考える。
(ここまで来て逃げるつもりなどない。
むしろ良い方が見つかって良かったと心からお祝い申し上げるべきなのだろう。)
婚約を解消するのは予定通りであった。はずなのに…。シャルロッテは氷の表情と呼ばれる仮面をかぶりなおす。
そして了承の言葉を発しようと口を開きかけた時、
それを制するかのようにアルフォートは言葉を続けた。
「そして……」
☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・
話は遡る。
この婚約関係のはじまりは、3年前のことだった。
シャルロッテは池の中にいた。
王家の庭にある池の中に、突き落とされたのだった。
デビューしたての頃の話だった。
とある茶会に参加したところ、複数のご令嬢に誘われ、庭へ行ったところ、「アルフォート様と話すなんて生意気。」「存在が気に入らない」などと罵倒されて、池に落とされたのだった。
彼女らは嘲笑を残して、去っていった。
(池に落としたらどうなるかわかるだろうに、現実的に考えて。)
とシャルロッテはひとり考える。
その池は意外と深かった。むしろ、頭を打つような深さではなくて良かったと感謝すべきなのだろう。足はつく。しかし、出られない。衣類が水を吸って重さが増しているのと、池の淵が力を入れにくく、何度か試しているが失敗している。そして、濡れたドレスはひとりで脱ぐのは難しいようだ。そもそも、留め具が後ろにある。
つまるところ、自力で脱出するのは困難であるということだった。
気持ちが焦るどころか、このまま沈んでも問題ないような気もしてくる。
池の中で思う。
(なんでこんなところにいるんだろう)
シャルロッテは淑女としても失格の烙印を押されたような気持ちになっていた。
「シャル、なんでこんなところにいるんだ。」
頭上から声が呆れたような声が降ってくる。
名前は特に気にしないでください。