JD-092.「赤いは早いと相場が決まっている」
「こんの……馬鹿! 遅いっ!」
「ごめん!」
まるで燃え上がる炎のように髪を逆立てつつ、女の子が叫ぶ。俺はひたすら謝るしかない。
慌てて宿に戻った俺がそのまま勢いでキスをして解放したガーネット。
そこから出てきたのは、夕日のような赤さのウェーブのかかった長い髪の女の子。
気の強そうな釣り目に、ちょっとつんとした鼻、そして……ささやかな胸元に細い腰。
まあ、なんだ……俺の望んでる姿だとわかっていても色々と周囲が気になるな。
「せめて収納袋に入れて持ち歩きなさいよね! じゃないと周りの事が見えるけど動けない、すごいもどかしいのよ!」
「次は無いけど気を付けるよ……ん? 周りの事が見える?」
俺はガネ子(仮名)の言った内容に気が付き、思わず問い返していた。つまりは……昨日の夜の……。
視線を向けると、ガネ子がうろたえるように後ろに下がった。みんなの視線も集まったからかもね。
「うっ、そうよ……あんな4人同時なんてハレンチな!」
「大丈夫。ジルとご主人様とみんなは相思相愛……あ、名前がわからない。お名前は?」
そういえばそうだった。勢いそのままで名前を聞いていなかった。
ガーネットは買ったばかりでよく考えてなかったんだよね。
ネード? それともまだあったはずのコレクションからとるべきか。
「何でもいいわよ。あ、アンタたちそのうちルビーも狙うんでしょ? だったらルビーでいいわ」
「上手く見つかったらね。じゃあ、ルビーで。よろしく」
差し出した手を、ルビーはおずおずといった様子でつかんできた。
怯えているというのとは違うようだけど、なんだろうね。
さて、それはともかくとしてだ。
「じゃあステータス確認してもいい?」
「え、な、なんでよ……」
何でと言われても、見ないとわからないもんな……。
どんな祝福なのか、とかさ。なんとなく攻撃に偏っていそうな気はするけども。
立ったままはどうかと思ったのでベッドの方に誘おうとするのだけど、ルビーはずささっと後ずさる。
まるで怖い物を見てしまったような、怪物が迫ってきてるかのような動きだ。
なんだか俺が何かしたみたいでちょっとへこみそうな動きだ。
「あら……ルビー貴女まさか……」
「大丈夫。ご主人様は優しい」
どうやら2人はルビーの態度の原因にピンときたようで、ささっと左右に立ったかと思うとその腕をつかんだ。
どうでもいいけど、腕を組みあってる少女ってそれだけでなんか、良いよね。
俺もその例にもれず、既に目が幸せといった状態である。
「……いいじゃない、見なくても」
「だめだよー。みんなと戦うためには必要なことだもん」
「そうなのです。戦力の把握は最初の一手なのです!」
なおも逃げようとするルビーだったが、フローラとニーナも参戦することによりあえなくベッドへとあおむけに転がることになった。
なんだかまな板の上に魚といった感じなんだけど……これも可愛いからいいか。
心に湧き立つ謎の感情に従い、敢えてゆっくりと寝転がるルビーに近づいた。
「大丈夫。すぐに終わるよ」
「ううう……恥ずかしい」
どこかの悪役以外の何物でもない発言を口にして、俺はルビーのスカート部分に手をかけた。
内またに閉じられた太ももは皆と同じようにすべすべのほっそりとした足だ。本当ならめくられないように抑えたいのだろうか、腰が少し浮きかけているのが気になった。
隠すことも出来ない顔は赤くなっており、少し涙ぐんでいる。
もしかして、俺のことが嫌いで見られたくないということだろうか?
そうだとしたら無理強いはよくないよな……。
「なによ、止めちゃうの?」
「え、嫌ならやめておこうかなって」
ピタッと手を止めた俺を責めるような声に、疑問を返すとルビーの鋭い視線が帰って来た。
なんだか、気の強い子を征服してるみたいでゾクゾクするよね……末期的だな、俺。
「急にだから恥ずかしいだけに決まってるでしょ!」
どうやらそういうことだったらしい。そのやり取りで少しは落ち着いたのか、ルビーの体のこわばりが少し溶けた気がした。
顔を赤くして横を向くルビーを見ながら、手の動きを再開する。
布ずれの音を立て、めくれていくスカート部分。そうして、染み1つ無い白い肌があらわになる。
「マスターっておへその辺見るのが好きですわよね」
「うっ……」
静かなラピスのつっこみがまっすぐに突き刺さるのを感じた。いいじゃないか、女の子のそういう部分が気になるんだよ。
ルビーのお腹に意識を戻して、魔法陣を呼び出す。やはり、赤い光が浮かんで彼女の能力が見えてきた。
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守護名:ルビー
メイン貴石:ガーネット
サブ貴石:無し(※候補貴石あり)
貴石ステージ:1
マナ:不足
マナプール:
○習得貴石術
火属性
○習得スキル
赤色の祝福
限定上限突破
不屈
貴石解放(受)※現在使用不可
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貴石術そのものは予想通りの属性だけど、スキルがちょっと多いようだ、名前からして逆転を狙うタイプなのかな?
今試すという訳にもいかないので今後しっかり確認しよう。それはそれとして……候補貴石?
「うう、もういいでしょ?」
じっと見ていたためだろうか、蚊の鳴くような声でルビーがささやいている。
顔を上げると、ラピスのみならずジルちゃんたちも俺の方を何やら見ているのが気になった。
もしかして、自分も見てほしいなあというような感じなんだろうか?
「なんだか、候補貴石ありって出てるんだけど」
「あらあら、ラッキーですわね」
「ご主人様、たぶんこの前の真珠」
骸骨な船長を倒した時に手に入れた真珠は確かに中身がいないから保留としてたはずだ。
ごそごそと収納袋から取り出してみんなの前に見せてみる。
海で手に入れたものだけど、ほのかに光っているところを見ると、光関係なのだろうか。
「おおー、さっそく戦力の増強なのです!」
「とーる、早く入れてあげようよ」
みんなもそういうので、と改めてルビーに向き直ると、最初のようにちょっとイヤイヤという感じで首を振っていた。
みんなは貴石投入を喜んでくれるのになあと思ったら、答えはすぐに帰って来た。
「最初は石英で慣れていった方がいいかもしれませんわね。入れるのに慣れていないと刺激が強すぎますので」
「うう、どうせやるなら今やりましょ」
そういう物か、と思ってやめようと真珠を仕舞い込むところで本人からGOサインが出た。
ずっと恥ずかしそうであるが、本人が良いというのならやろうか。
ちなみに今の俺達の状況を言葉にすると、ベッドにあおむけのルビー。
両手を左右からジルちゃんとラピスが抑え、足を広げた状態でニーナとフローラがつかんでいる。
そして俺は服をめくるべく下側から……我ながら、ひどい状態である。
ささっと終わらせてあげた方が良いだろう。
「じゃあ、入れるよ」
「早くしなさいよねっ」
言葉の割に、ごくりと喉を鳴らすような表情でこちらの手元を見るルビー。
彼女は真珠が魔法陣に触れ沈んでいくと同時に勢いよく跳ね、声にならない叫びを部屋に響かせたと思うと一気に脱力した。
「マスター……」
「ご主人様……?」
「いや、まさか気絶するとは……」
ちょっと、やりすぎたかな?
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増えると執筆意欲に倍プッシュ、です。
リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは
R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。
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