JD-071.「1足す4?答えは4です。なぜなら1が捕まってしまうから」
こちらもそろそろ人物設定を作っておかないとか……。
「ふう……やっぱこの時間は良いな」
一人、静かな部屋の窓辺に座る。何度目かの、朝の暗さと朝靄が支配する街並み。
毎日この時間に起きる、というのはなかなか厳しいけれど、たまには新鮮に感じられていいと思う。
どこからかペットか何かの動物の声が響き、その度に姿勢を変えて街を眺める。
地球にいたころには、こんな時間の使い方はしたことが無かった。
ぎりぎりまで寝て、ぎりぎりに飛び出す。そんなよくあるスタイルだ。
オタク趣味の都合、夜更かしが多いというのもあったけどね。大体趣味のある人なんてそんなもんじゃないだろうか?
「とーるうう」
「……寝言か」
突然のフローラの声にびくんと震えて振り向くも、起きてくる様子はゼロ。
1人ずつベッドがあるというのに、1人で寝ることが最近なくなってきた気がする。大体誰かがもぐりこんでくるんだよね。
寂しいのか……別の理由なのか。どちらでも構わないと言えば構わないけど、下着はつけていてほしい。
フローラも、昨晩の石英投入の際にはそのまま寝てしまったから乱れた姿の彼女をラピスたちに着替えさせてもらった。
その際には上着を着せずに下着だけで毛布をかぶせていたと思うので、今それをめくればその姿が丸見えということ。
(寝てるときにやるのもどうかと思うからやらないけどさ)
起きている時ならいいのか?というツッコミが心のどこからかやってくるけどスルー。
女神様から色々受け取ったはずの彼女たちに、余り勘違いさせるような言動をしてはいけないのだ。具体的には、服を脱がせるような行為とか。
見たいの?と脱がれる羽目になる。いや……これも言い訳かな。
これまでの人生で、ここまでストレートに慕われ、自分と一緒に生きていこうとしてくれる子達と出会った事なんてないんだから。
戸惑いと、本当にそうなのか?という不安がどこかにあるんじゃないかなと自分では思っている。
幸せになるのが怖いとかいうなんかの症候群みたいだ。それでも……嘘はないと思う気持ちだってある。
「家を買うようなことがあったら1つの大きなベッドで、かなあ」
小さなつぶやきが部屋に溶けていく。視線の先には、ベッドを隣り合うようにくっつけて5人で寝る状態になっている不思議な空間。
ジルちゃんたち4人が仲良く寝ている。その横で外を見て無駄に外を眺めている俺。
こうしてると事後の夜明けの一服みたいだけど気にしてはいけない。
じっと彼女たちの寝姿を見ていると湧き上がってくる感情。
─大切にしてあげたい
─笑顔でいてほしい
─隣にいてほしい
そんな、感情たち。もしかしたら、彼女たちは否定するかもしれない。私達はモノなのです、恋してはいけません、と。
知ったことか、とそんな俺の妄想に否定の言葉を投げかける。
あるいはそれは、俺の不安が出てきた言葉なのかもしれない。
確かなのは、今さら別れるなんてことは無いな、ということだった。
「そうか、2週間後には……」
「はい、スフォンに行ってみようと思うんです」
灯台守のおじいさんの家。何度も訪れ、時には畑のお手伝いなどもした落ち着く空間だ。なんだろうな、田舎のじいちゃん家とは似てるわけじゃないのにな。
今日もまた、ジルちゃんたちはおばあさんと一緒に特訓のために外に出ている。
ちょくちょく獣や魔物を持ち帰るから、狩りに行ってるんだと思う。
「なるほどね。あそこは噴火したのがもう100年も前だ。君の言う通りなら、活動が活発な場所がいいかもしれないが……ふむ」
「とりあえずは近い方に、と。外れでも何にもならないってことはないでしょうしね」
おじいさんと話していると、自然と丁寧になるのはなんでだろう。
やはり雰囲気がそうさせるのかな?
旅に出るというならと、いくつかの助言や忠告めいた話を聞き、
貴石術のおさらいをしてその日は終了となる。
好意に甘えて泊まり、送り出されていく先はいつものようにギルド。
新しい場所、火山を抱いていたという街、スフォンへと行くには結構なお金がかかるのが問題だ。
幸いにも、数々の戦いで多くの儲けを得ている俺達だが、かといって贅沢をしていくつもりもないわけで。
正規の手段で路銀を稼ぐというのは大事な事だと考えている。その手段がとれるというならなおさらね。
余剰分のお金は稼ぎたくても稼げない時に取っておけばいいのである。
定期便となる船の出発まで2週間。その間、効率よく稼ぐ必要がある。
そのためにはと思い、みんなの実力は出来る限り合わせるようにしてみた。
何かといえば、貴石ステージの調整である。フローラをメインにして、みんなステージは5まで上げた。
ステージ5となると、時間にして解放だけなら10時間ほどは維持できる。街中で過ごすだけなら十分だ……その後マナが枯渇するという難点を除けば、ね。
そうして、恐れていたことが起きた。ジルちゃんの貴石ステージが上がらないのだ。
手ごたえはあるのだが、フラグが立たないというか最後の何かを越えられないという感じだとジルちゃんがいっていた。
(女神の言うとおりにしないといけないのか?)
そんな思いが頭をよぎりつつ、色々試した結果、戦闘する以外にも本人の感情が高ぶると時間が減ることも分かった。例えば、そう……例えば。
大きくなったままお風呂に入り、俺が洗ってあげるというシチュエーションだと戦闘してるときと同じぐらいの時間で元に戻ってしまった。
本人がドキドキするとか、そういった場合に時間がすごい減るようなのだ。これは色々な意味で問題だった。
事前に慣れてもらう、時間をかける、ということが難しそうだからだ。
何の?と言われれば、ステージを6以上に上げるための……行為。
出来るだけ平坦な感情でいないといけないとなるととてもそういうことは簡単には出来そうにない。
かといって……小さいままの皆にというのはラピスでもぎりぎりじゃなかろうか。
勿論、みんなの事は嫌いじゃないというか大好きだけど、今はちょっと気分が乗らないというか、大小どっちがいいのかなーというある種贅沢な悩みを持っているわけだ。
方法が無いわけじゃあない。マナを補充しながら行えばいいのだ。
でもなんとなく、5人そろってからの方が良いのかなあとは思っている。一人仲間外れというのも、ちょっとね。
まだ見ぬ5人目のためにも新天地へと向かわなければいけない。
聞いた話によると、スフォンは噴火した後がいくつも小さな湖となった山が近くにあるらしい。
今も地下には噴火の元があり、そのためにお湯が沸く土地だという。
温泉に恐らくは間違いないと思う。非常に楽しみである。
貴石術で水を生み出して、道具で沸かすのもお風呂ではあるのだけど、何か違うんだよね、うん。
決してみんなと気楽に混浴したいから、ではない。全くないとは……言わないけれど。
交易とは少し違うけど、向こうに持って行くとよさそうな物を市場で買い込みつつ、船の出発の日を迎える。
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リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは
R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。
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