JD-065.「思わぬ再開」
後半は大分筆が滑りました。多分。
骨船長を撃破し、ようやくとなった財宝との対面タイム。
今度こそはトラップはないようで、事前に買っておいた麻袋や、俺自身は収納袋を限界まで使うべく次々と金貨や装飾品をつっこんでいく。
なんとなく、このまま回収を続けると稼ぎでトップになりそうだけどそれでいいかなとも思う。
何所から手に入れたのか、あるいはシーゴーストと骨船長が作り出したのか、装飾の見事な剣や兜、鎧なんかも転がっている。
表面には宝石の類がアクセントに添えられている奴なんかは実戦じゃ使えないだろうから儀礼用だろうか。
もしかしたら、貴石術の増幅が可能な魔道具なのかもしれないね。
「えっほえっほ」
「結構骨……ですわ」
「金貨金貨金貨! 黄金の盾とか作れそうなのです!」
「ねーねー、この短剣使っていいかなー?」
ひとしきり回収が終わった後、残るのはどこかの女神が立っていそうな大きな二枚貝と、そこに鎮座するバスケットボールほどの球体。
脈打っているような気がするから、これがコアなんだと思うんだよねえ。
「ご主人様、誰か来る」
「あら、ベーラさんじゃありませんか」
足音を響かせて飛び込んできたのは、怪我はしているものの、無事な姿のベーラさん。
焦った表情で部屋を見渡し、そして俺達を見て、破顔する。
「つまり、やったんだな?」
「はい。なんとか頑張りました」
言葉少なく、事実だけを確認してくるベーラさん。
熟練具合を感じるね、まったく。よく見ると、そんなベーラさんもポケットのあちこちが膨らんでいる。
どうやら道中でしっかりと確保しているようだ。
「ふふん、俺ぐらいになりゃ日々の酒代で十分よ。がっついたって損が多い。とはいえ、お前さん達は若い。若いからには……がっつり稼いだんだろう?」
「おかげさまで、ここのは全部回収済みです」
にやりと、自分でもわかる悪い笑みを答えとして、収納袋から適当にじゃらりと取り出して見せる。それを見て、ベーラさんは大声で笑い始める。
「それでいい、それでいいぜ! 船長室のお宝なら一番だろうよ!
それ、連絡してやるからそいつを砕く準備をしな。砕いたら脱出だ!」
やっぱりこれがコアだったようで、ベーラさんは笛を取り出すと勢いよくそれを吹き鳴らす。
きっとこれが合図となって冒険者達は脱出を始めるのだろう。
「いいぜ」
「了解!」
危機を感じるのか、脈動が速くなっている気がする球体に、聖剣を横なぎに振り抜き……思ったより手応えがあり、綺麗に切れなかったトマトのように砕けた。
何かの力の塊であったのは間違いないようで、聖剣にそれが吸収されていくのを感じた。
振動と共に始まる船の崩壊。
「みんな、脱出だ!」
ベーラさんを含めて駆け出し、ぎりぎりのところで甲板へと抜け、俺達は大海原に飛び出した。
ずぶ濡れになりながらも船に回収され、俺達は街へと戻る。
街へと戻った俺たちは誰からでもなく笑い出す。
清算が終わるまでの前祝として宴が始まり、俺達もその騒動の中で飲んで歌ってと過ごすのだ。
「こんぐらっちゅれーしょーん!」
耳を突き抜ける甲高い声。ほわわんとした感じながらも、無視できない力を感じる確かな声。
「お久しぶりですね、女神様」
そう、俺をこの世界に連れて来てくれた女神様だ。
相変わらず2つのメロンが躍っている。左右に上下に、好き勝手に。
ブラジャーをしない主義なんだろうか?
「挨拶しながら胸に目がいくところは若さですねー、いいですよー」
男のチラ見は女のガン見というし、相当だったらしい。
それはそれとしてだ。
「早かったような遅かったような。いまいち基準がわかりません」
「特に決まってないんですよー。その代り、しっかり溜めてからじゃないとお話が全然できないので……最初の挨拶だけで終わりじゃお嫌でしょう?」
確かに、そういうことであれば仕方がない。こちらも聞きたいことが多いからね。
「早速質問です」
「あららー、なにかしらー」
腕組み女神様の腕の中でメロンな巨乳が形をあれこれと変える。
そのことにあまり反応できていないことにどこか納得と悲しみを覚えつつ、口を開く。
「後何人仲間に出来そうかと、いる場所に心当たりがあれば」
「そうですよねー、気になりますよねー? ええーっと、……あ、あと一人……のはず!」
はずってなんだ、はずって。自分の娘だろうに……いや、だからこそか。
「俺達より前にも同じように降り立った人がいるんですか?」
「確かー、いますよー。でももう何百年も前の話で、私にとってはついこの間ですけど、人間さんだと昔話よりもっと前ですねー」
やっぱり、いたんだ。その話がおじいさんたちの知っている話につながっていくに違いない。
ただまあ、それはそれだ。
「今のところ局地的にしか戦ってないけど、それでいいの? もっとこう、がっつり倒していかないといけないのかと思ってたんだけど」
「大丈夫ですよー。それが少しずつ広がっていくので―。うふふ……トールさん、娘たちと仲良くなってますかー?」
仲良く、か。普通に聞けば頷くだけのことだけど、女神様は意外と肉食系女子である。
この場合は……。
「ご奉仕されるだけじゃなく、ちゃーんと契ってあげてくださいね。大丈夫ですよ、子供が出来ませんから」
何がどう大丈夫なのか、全力で突っ込みたいところだ。
でもそれを口にすると、この女神様の事だ。
可愛い顔をしながら、「突っ込むなんて、キャッ」とかいうに違いないのだ。
「俺の理想が混じってるからだと思うけど、みんなちっちゃいんで」
だから今は……と続けようとしたところで言葉が止まる。
女神様が目の前にすすっとやってきたからだ。
「それが理由ですかー? 駄目ですよー、あまり我慢しちゃ」
「何をっ」
いたずらな顔で、女神様の手が俺の下の方に伸びていく。
慌てて腰を引いて回避したが、とんでもないことになるところだった。
「あの子達はー、私と、トールさんのマナをベースに実体化してるのです。
しっかりとマナを供給して、結びつきを強くしてあげてくださいね」
マナの補給はちゃんとしてる、そう言いたいけれど、そうではないのだろうか?
「マナ液の補充は一時的なんですよ。しっかりきっかり、トールさんのえっちな聖剣さんで補充してあげてくださいネっ☆」
「ネッ☆じゃないだろ母親ぁあああ!」
特殊な空間故か、俺の叫びと共になぜか手にはハリセン。
小気味よい音を立てて、白いそれが女神の頭にたたきつけられる。
「アイタ!? うう、嘘じゃないんですよー。あの子たちが真の力に目覚めるには主であるトールさんと
結ばれる必要があるんですから! そう作った私が言うんだから間違いありません!」
聞きたくないカミングアウトであった。
道理で貴石ステージの伸びが最近良くないわけである。
そういう理由……かぁ。
「あ、時間が近づいてきました。早めにお伝えしたいところですが、時間も足りないので直接入れますね」
「入れる? ムグウ!?」
何を、と思ったら女神様は力強く俺の顔を抱え込んだと思うと、思いっきりキスをしてきた。
慌てて振り払おうとするもびくともしない。
その間にも女神様の舌が俺の口内に……何か出てきた。
それを飲み込んでしまい、情報が頭を駆け巡る。
衝撃に俺の意識は飲み込まれ……白い中に消えていった。
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増えると執筆意欲に倍プッシュ、です。
リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは
R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。
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