JD-059.「白い幼女、つまりホワイトロr(略」
溜め込んでいた力をちょっと解放してみました。このぐらいならきっとセーフなはず!
「かゆいところはございませんかー」
「ふふっ、変なご主人様」
髪の毛を泡だらけにしたジルちゃんの声が反響して響く。俺達がいるのは、港街ルシースの宿。
繁華街の近くにあり、どう考えても連れ込み宿やその類の宿屋なのだけど、お風呂場を確保できる宿はこういった場所以外ではものすごく、高い。
宿としての質は普通ぐらいだけど、お金を払えばお湯はもらえるし、湯船だってある。
食事も出ないので、結果的に泊まるだけなら俺達にとっては都合がいいのだった。
怪我をして戻って来た俺達を、受付のおじさんはほとんど表情を変えずに迎えてくれた。
お湯をもらおうとした俺だったが、5人分だとこちらも大変であるからと1つの提案をされた。
それはお湯を沸かすための道具の貸し出し。石英を燃料に、それが沈んだ水を設定した温度まで温めるという便利アイテムだ。
保証金として安くない金額を預け、その道具を借り受けることにした。
水自体はラピスに出してもらえばいいしね。
そして、天国か地獄か。俺にとっては何とも言えない状況に置かれた。
本当ならジルちゃんたちで入ってもらうはずだったお風呂。
そこに俺も入れと言うのだ。
「ちょ、それは……」
断ろうとした俺の服をジルちゃんがつかむ。
服を作りなおす気力もないのか、どこかぽわぽわとした表情でじっと俺を見つめる。
「いっしょが、いい」
かろうじて、タオル的な物を巻いてもらうことは飲んでもらった。
結果、幼女少女4人と同じお風呂に入り、さらにそのうちの1人の髪の毛と体を洗うという状況、それが今の俺だ。
半ば自棄になり、ジルちゃんを寝かせて髪の毛を泡立てる。
こうして触ると、本当に手触りが良い。何もなければずっと触っていたいぐらいのサラサラ感だ。
体も冷えてしまうので、我慢してお湯で泡を洗い流す。
「今度はジルがご主人様を洗う」
「いや、そのまま体洗っちゃおうよ」
目に入ったジルちゃんの怪我の1つに俺は思わずそういってジルちゃんを座らせた。
その間も、軽傷で既に怪我がほとんど治っているラピスたちは半分ほどの夢の中である。
ジルちゃんに体を洗うための布を渡すが、彼女はそれを見た後、俺に手渡してくる。
「あらって……?」
「わかりましたよ、お姫様」
何がうれしいのか、自分でより俺に洗って欲しいとのことで、色々と覚悟を決めながらジルちゃんの体に布をはわせる。
小さく、小柄なジルちゃん。絹のように滑らかで、白い素肌にいくつもの傷。
俺の、油断と無茶が作り出した傷だ。
「痛む?」
「だいじょうぶ……ご主人様を守るための物……へいき」
胸に飛来するのはなんという感情なのだろうか。
「うう、もう傷の治った自分の頑丈さが恨めしいのです」
「ニーナもフローラも頑張ってましたもの。良い事ですわ」
背中に届く陽気な声は、どこか楽しんでいそうだ。
ジルちゃんだけが比較的傷が大きく、多いというのは自分が如何にそれだけフォローされていたかであり、情けなさを証明するものでもある。
なのに彼女は、ジルちゃんはそんな傷も自分のために何かできた証だと言う。
ゆっくりと、優しく肌を洗っていくと、時折ぴくんとジルちゃんは震え、息が漏れる。
それが傷に染みるのか、あるいは別の理由なのか。
目の前で気になる女の子がタオル1枚で身を任せているという状況に俺の心拍数は上昇しっぱなしである。
気のせいか、お湯につかっていないのにジルちゃんの肌が赤い気がする。
「これ、消せるのかな」
そっと、大きな傷の一つを肩越しに指さす。
視線を下に向けると微妙な谷間が見えてしまいそうでどきっとした。
「わからない……けど、ご主人様の白いのなら効くかも」
「え、白いの? えーっと、聖剣のやつ?」
コクンと腕の中でジルちゃんが頷くので、ラピスたちにそろそろ上がったらと声をかけつつ聖剣を取りに浴室の扉を開けてすぐそばの聖剣を手にする。
「湯冷めしないようにお先に失礼しますわ」
他にも何か言っていたような気もするけど、タオル1枚で歩く物だから直視できずに耳に残らなかった。
既にニーナとフローラはふらふらと寝ているかのような状況だったのは覚えている。
そして、浴室には俺とジルちゃんだけが残った。
「まずはこの辺から行こうか」
「うん。ご主人様の白いの、かけて?」
いや、直接じゃなく塗り込むだけだけどね、等とは口に出来ず、聖剣(短)の先から白いマナ液を手のひらに出し、小さい傷に塗り込んでみる。
「ふぅっ……くすぐったい」
ぬるりと、俺の手がジルちゃんの肌の上を滑る。そのひどく背徳的な光景にくらくらしそうになる。しばらく時間をおいてみると、見事にそこにあった傷は消えていた。
「おお、やったね」
「うん。じゃあ……こっちも」
互いに椅子に座り、ジルちゃんを前に抱えるような格好。
そのまま手や足といった場所に出来ていた傷にマナ液を塗っていく。
ぬるぬると、どう考えてもあれな感触だけど出来るだけ深く考えないようにしながら塗り込み……。
無理でした、すいません。反応した俺の聖剣にびびりつつ、ぴったりくっついていたジルちゃんとの間に隙間を作る。そうでもしないと、ね。
「ジルちゃん動いちゃだめだよ」
「でも、くすぐったい」
俺がマナ液を塗るたびに、ジルちゃんは体をくねらせ、頬を上気させたような顔で潤んだ瞳を俺に向けてくる。
まるでピンク色のダンスでも踊っているかのような光景に長引かせてはいけないと感じた。
「ほら、もうすぐ終わりだから」
「ご主人様の腕、たくましい」
仕方がなく、聖剣を持った右手でジルちゃんを肩ごと抱えるようにして固定し、左手でマナ液を受け取るようにして出す。
そしてそのまま、傷の大きなお腹、そして太ももへ。
そのころになるとジルちゃんもなすがままという感じで体を預けてくる。
一部だけの開いた空間が違和感たっぷりなほどだ。
いつの間にか、ジルちゃんの足が閉じた状態から開き始める。
「ジルちゃん、足は閉じてて」
「? このほうが塗りやすいよ」
「駄目」
正直、腕の中で少女が足を開くなんて言う状況は危険にもほどがある。
その上、動かないようにと回した腕のすぐそばに口があるのだ。
漏れる吐息が直に腕に当たってくる。というか……。
半裸の女の子を刃物(切れないけど)を持った腕で抱きしめ、片手は下半身へ向けて怪しく動いている。
どう考えても脅して以下略な光景です。通報だけはやめて!?
わざと思考をそんな方向にそらしながら、なんとか全部にマナ液を塗り終える。
「終わったよ。ジルちゃん」
「はふ……ご主人様の手、あったかい」
それはジルちゃんもだよ、とつぶやき返すと、彼女は俺の腕の中でにこりと満面の笑みを浮かべた。
全身を白濁(マナ液)まみれにした女の子に微笑みかけられるとか、暴発しなかった俺は褒められても良いと思うんだ。
「おふろ、はいる」
「確かに、少し冷えたね」
助かった、そう思った俺はそそくさと湯船につかる。
ややぬるくなっていたが、それでも体全体にじんわりと温かさが染みていく。
「きもちいいね」
「ご主人様と一緒だからだよ」
訂正しよう。助かっていなかった。
十分広いのにわざわざ俺の前に入り込んでくるジルちゃんの猛攻に俺のがけっぷちの戦いは再開されるのだった。
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リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは
R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。
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