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宝石娘(幼)達と行く異世界チートライフ!~聖剣を少女に挿し込むのが最終手段です~  作者: ユーリアル


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JD-053.「絨毯のサイズはLですか? Mですか?」

 

「空飛ぶ絨毯狩りの始まりだぁ!」


 どこからか、気合のこもった声が聞こえる。

 俺達も予定通り、巨体の斜め後ろから走り寄る。

 地上に落ちても、ストームマンタはその巨体に変化は当然、無い。

 むしろ近くなった分、巨大さがわかるという物だ。


 正面の口には怖くて近寄れない。

 いくらチートがあっても、丸呑みされたらどうしようか、というところ。

 ひとまず狙うは、巨体の中でも細さの目立つ尻尾部分。

 エイなんかと比べると特に毒という訳じゃないだろうけど、異世界のマンタに毒の尻尾がないとは思えない。


「斬っちゃう……よ!」


 器用にストームマンタの背を駆け抜け、ジルちゃんが作り出した短剣、いつもより長めでショートソードと呼ぶのが正しいような物が巨体の1部に突き刺さる。

 そこにすべり込むようにニーナが駆け寄り、両手を突き出してマナが動くのがわかる。


「この隙間に、薄く展開なのです!」


 何事も使いよう、ということを証明するようにニーナの生み出したノート程の厚みの石の盾がジルちゃんの切り裂いた部分をさらに広げるようにして現れる。

 包丁で肉を斬るみたいな感じだな……。


「マスター、私たちはあれを」


「うん。あの光、間違いない!」


 丁度ストームマンタの背中の中央。

 何かのコブのようなものがいくつもある中、青いような緑の様な光を放つ物が何個もある。

 その中の1つに、俺は懐かしい感じを覚えた。

 ストームマンタは背中にある岩や貴石の力を使って空を舞うと聞いた。

 となればあれらがなくなれば飛べなくなるということ。


「っと、わかるのか?」


 駆け出した俺達を振り落すかのように、ストームマンタが暴れるが縫い付けるように打ち出された鎖が大地に縛り付ける。

 子供のころに読んだ、小人の島にいった人間の話を思い出すほどに、大きさの違いが感じられる。

 それでも俺たち以外の人が遊んでいるわけではない。


 あちこちで武器を挿し入れ、ストームマンタが傷ついていく。

 ぐっと噛みしめ、女神様のくれた体を信じて全力で駆け出す。

 途中、揺れを感じる物の思うままに跳ぶように走り、転倒は回避する。

 そうして見えてきた光の元。幾つは大きく、貴石としての価値はそちらのほうが高そうだと感じさせるが、俺の狙いは見覚えのある、ひどく小振りな……トルマリン。


 一番近いのは、妙に安っぽく見えるかもしれないが日本の信号の青、だろうか。

 すれ違いざまに、岩に食い込むように刺さっているそれを摘み取ると、周囲の気配が大きく変わった気がした。

 言うなれば、異常だった物が普通に戻ったような。


「マスター!」


「おわっと!」


 目的の物が入手できたことで気が緩んでいたのか、揺れる足元にバランスを崩し、転がる。

 倒れ込んだ拍子に、手の中のトルマリンがすぐ目の前にくる。

 握ったままで落とすことはなさそうだけど、このままというのも少々、怖い。

 収納袋にはなぜか入らなかったので、服のポケットの中に入れて周囲を見る。


「じゃあ遠慮なく、行きますかね!」


 尻尾が斬り終わり、合流してくるジルちゃんとニーナを見つつ、聖剣の切れ味を最大に戻してそのままストームマンタの背中を切り続ける。

 あちこち素材になるらしいから、布を裁断するように無駄に四角くしてみたりしてみた。

 耳にはストームマンタの物であろう叫びが何度も届くが、それをかき消すかのように乱れた嵐の風が周囲で荒れ狂う。

 それでも最初の時と比べると雲泥の差だ。立っていられるからね。


 しばらくして、街の冒険者の一人が大きな槍というか銛を抱えてストームマンタの背中を走り……突き刺した。

 そこはこの魔物の心臓だったのか。一度大きくはねた後、脱力するようにストームマンタは横たわった。


「終わったみたいですわ」


「そうみたいだね。これ、取り分はどうなるんだろうなあ?」


 足元の巨体は等分したとしても相当な物だけど……。

 貢献度合いなんてなかなか数字にしにくいもんね。

 俺達としては、仕舞い込んだこのトルマリンが手に入ればいいわけだけど……ね。

 いつの間にか嵐も消え、空には嘘のような青空が広がる。

 物言わぬ巨体以外、何もなかったような光景が海辺に戻ってきたのだ。


「おう、逃げずに戦って生きてるじゃねえか。やるな」


「運が良かったんですよ。ちゃんと後ろから行きましたしね」


 こちらに気が付き声をかけてきたのはストームマンタの事を教えてくれた先輩な冒険者。

 彼もまた、全身を濡らしながらも生き残ったようだ。


「それができない奴の方が多いこと多いこと。そうだ、どうせ買取の決まりもしらんだろう?

 ついてこい、損はさせん」


 周囲や街の方から歓声が聞こえる中、ひどく冷静なその声と背中に俺はジルちゃんたちと一緒についていくことにした。

 背中に残っている岩からいろいろ取り出しているようなので、俺も習って近い奴を聖剣で切り取って岩ごと手にする。


「ほう。他のも切ってみろ。これが多いほど後で楽だ」


「わかりました。みんな持ってて」


 振り返った先輩冒険者がさらなる採取を促すので、俺は岩をみんなに支えてもらいながらすぱすぱと聖剣を横に動かす。

 一抱えほどの岩が都合5つ。その中には貴石らしきものが光っているので全部換金できるってことかな?


 ストームマンタの討伐に街は湧いていた。

 あちこちで飲めや歌えやと騒ぎになっており、まるでお祭りの様だった。


「奴が街を襲えば全部なくなっていた物だ。騒いでも大した痛手じゃない」


「そういうことなんですね」


 ストームマンタから素材を剥ぎ取るためか、荷車なんかを運んでいる人とは逆向き、ギルドへと歩く。

 そうして建物に入ると、中の視線がこちらに集まって来た。


「よう、一応討伐の報告と、証拠品を持ってきたぜ」


 そのままこちらの方を見て頷くので、恐らくはこれのことだろうということで岩にはまったまま貴石をカウンターに乗せる。

 見た目からするとなんだろう……エメラルドのように見えるけど、皆の出てきた貴石とは感じが違うからただの貴石のようだ。

 つまりは、確保できなくても大丈夫なシロモノ。


「5個も乗っていたんではああもなりますね」


「まったくだ。多くても3つが記録だというのにな、危なかった」


 カウンター越しに始まる会話からすると、今回のストームマンタはかなり大きい方だったらしい。

 それでも犠牲者らしい犠牲者が出ていないのだから非常に上手く行った、ということかな。


「そうだ、あいつらは俺達と一緒に逃げずに戦ってた。尻尾もあのお嬢ちゃんたちだ。上乗せしておいてくれよ」


「シルバーさんが言うなら間違いないですね。君たち、こっちにきてくれないか?」


 どうやら先輩な冒険者は街では名前が売れているらしい。シルバーさんか……なんだか海の上が似合いそうだ。

 招かれるままに、カウンターに歩いて行き質問に答えていく。と言っても、あまり話せることもないけどね。

 4人とも貴石術が使える、というのには随分と驚いていたけど、まあ、そのぐらいだ。


「街のために戦っていただいてありがとうございます。基本報酬はこのぐらいで、後は素材の売却益から出ますのでしばらくは街にいてくださいね。

 3か月たっても顔を出さないと追加分の権利はいらないものとみなしますので」


「わかりました。今日は……さすがに休みます」


 既に後ろ3人もうつらうつらといった状態だ。

 暴風雨の中の待機や、実際の戦闘は思ったより疲労を蓄積させているみたいだ。

 ギルドを出る頃には、ジルちゃんは立ったまま眠っていたので背負う。


 残り2人、ニーナとラピスは俺の腕に自分の腕を絡ませたままうつらうつらだ。

 2人を引きずるように宿に戻り、その日は夜が来る前に就寝となる。








ブクマ、感想やポイントはいつでも歓迎です。

増えると執筆意欲に倍プッシュ、です。


リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは

R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。



誤字脱字や矛盾点なんかはこーっそりとお願いします

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ご覧いただきありがとうございます。
ぽちっとされると「ああ、楽しんでもらえたんだな」とわかり小躍りします。

○他にも同時に連載中です。よかったらどうぞ
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