JD-041.「少女が虜」
だから朝から何を投稿しているのかと小一時間以下略
俺は女の子を舐めていた。いや、体を舐めたらアウトだからそういうことじゃなくてね?
こう、目の前の光景に自分の見通しの甘さを痛感している。女の子の甘いもの好き度合いを男のそれで測ってはいけないと。
「うう……5枚は少ないのです。でもでもっ」
「逆に考える……少ない方が貴重な感じが出る」
「溺れるように量を味わうのも捨てがたいですわ」
ちゃんとご飯を食べてから、とどこかの親の様なセリフを口にして、なんとか3人に食事をさせてからの部屋の中。
よく考えたら俺以外の3人は食事そのものは必要ないはずだけど、この辺は気分だよね、気分。
俺はそこまでハニービーのハチミツを食べる予定がないので、3人と違ってしっかり食事をとった。
そして部屋に戻るなり、買い集めてきたお菓子やパンを前に、この後のことに目を輝かせている3人へ向けて、無造作に言い放ってしまったのだ。
─パンは5枚まで。クッキーは1袋ね……と。
それを聞いた3人の顔は俺が思わず引いてしまうほどだ。
絶望。
それが支配した真っ青な顔だった。
「ほら、明日とかあさってとか、今日いっぺんに食べたらなくなっちゃうだろ?」
慌ててそう付け加えるぐらいしかできなかった。我ながら後出しな理由だなと思う内容だったけど、全く外れということも無かったようで、3人の顔に赤みが戻ってくる。
俺が買ってきたものをテーブルに並べ、ああでもないこうでもないと選び出した。
(危なかった……)
俺がそうほっとしたのもつかの間。3人は何やらループに陥り始めたのだ。数が少ない、でも考えようによっては……しかし、いっぺんにというのも捨てがたい。この繰り返しだ。
俺はその間に、3人が食べることになるであろうハチミツを収納袋から取り出し、邪魔にならなそうな場所に置いていく。
1つ……2つ、まあ3本あればいいか。専用の容器を探しておいた方が良いかもしれないなあ……。
何気なくそうして3本にポーション瓶を置いたとき、3人の視線がそれに集まるのを感じた。
「今日のところはパンにしておいたら?」
瓶を射抜いて中身が出てくるのではないかと思ってしまうほどの3人の鋭い視線に、たじろぎながらそれだけを口にした。
「マスターがそういうなら……」
「はいなのです……」
「残りは、また明日」
でも、それで3人はよかったようで、大人しくパンを片手にそれぞれの瓶を手に持った。
少しかけて、一口。ぱああと笑顔になる3人。ニーナはいつも大きな瞳をそれ以上にまん丸に。
ラピスは2人を見守る姉の様な優しい瞳が少女らしく驚いたものに。ジルちゃんは小さな瞳が別人のように開き、瞬きが止まらない。
どうやら3人には満足してもらってるようだ。2枚目、3枚目と食べていく中、ジルちゃんは何を思ったのか、俺の方へと駆け寄ってくる。
「ん、どうしたの」
俺は笑顔で、水差しからコップに水を移してそれを飲んでいるところだった。
「えっとね、ご主人様。ジルに白いの、出して?」
「ブフウウ!」
笑顔で言い放たれた爆弾発言に、思わず水をあらぬ方向に噴き出してしまう。どういう流れでそうなるのか、さっぱりだ。
「ケホッ……えーっと……ああ」
ジルちゃんは不思議そうな顔をして、ポーション瓶、ハチミツが半分ほどなくなった物を差し出してきていた。
「ご主人様の聖剣のあれを混ぜたらもっとおいしいと思った」
なるほど。ジル(の瓶)に白い(マナ液)出して、か……わかるかぁ!
思わず叫んでしまいそうになるけど、ジルちゃんに悪気は全くないわけで、怒るに怒れない。
何もしてないのに疲れてしまった気分を背負いつつ、ジルちゃんの差し出す瓶に聖剣(短)でマナ液を注いでいく。
黄金色、あるいは琥珀色の中に白い液体が混ざっていく。色は違うけど、コーヒーゼリーに白いのを入れてるような感じだ。
ジルちゃんは注がれていくそれをきらきらした瞳で眺めつつ、最後には崇めるかのように両手を突き上げる。その手にポーション瓶を持ったまま。
「マスター、私のにも……」
「トール様、同じくなのですっ」
それを見ていた2人も抱き付くような勢いでこちらに駆け寄り、その手の中の瓶を突き出してくる。
「わかったから、落ち着きなよ」
やはり、甘いものは女の子を狂わしてしまうらしい。3人がそれぞれに恍惚とした表情でハチミツとマナ液の混ざった物を見つめ、そしてパンに乗せて食べていく。
「これは……危険」
「他の食べ物が口に出来なくなりますわ」
「勝てる気がしないのです……」
3人が3人とも、何やら敗北の様な感想を述べ、脱力したように動きを止める。そんなに美味しいんだ?
「終わっちゃった……」
5枚目のパンを口にし、ついには飲み込んでしまったジルちゃんがほとんど中身の無くなったポーション瓶を見て呟く。
なんというか、ひどく悲しそうだ。
「でももうちょっとある。あっ」
そういって瓶を逆さまにして中身を口にしようとして、ジルちゃんは失敗してしまった。鼻の上付近にハチミツがかかってしまったのだ。
「うう、べとべと」
「拭いてあげるよ。こっちへおいで……」
近寄って来たジルちゃんを目にし、俺は言葉を止めてしまう。少女というか幼女の顔を伝う、妙にてかてかした白っぽい液体。どう見ても通報案件です、はい。
でもそれを口にすることはできず、大人しく布で顔を拭いてあげることぐらいしかできない。
「もったいなかったけど、しょうがない」
「また明日ね。ほら、ラピスもニーナも食べ終わったら体を拭いてくるといいよ。あちこちべたついてるよ?」
落ち込むジルちゃんの頭を撫でて慰めつつ、ふと見た2人の顔や服にテカリがあるのを見つけ、3人で隣の部屋で体を拭いてくるように促した。
3人が隣の部屋、カセンドの宿と同じような造りのそこに入って行った後、一人ベッドで天井を見上げていた。
「ハチミツをあんなに喜んでくれるなんて、貰ってよかったな」
3人の夢中な姿を思い出し、一人笑う。いっそのこと交渉してハチミツ風呂になるぐらいもらってみようか?
いや、それだともったいないか。そんなことしたら食べられないしな……。
でもジルちゃんたちならハチミツまみれになりながらいくらでも食べてしまいそうだな。
ふと、あられもない姿でハチミツに浸かっている3人が互いを舐め合うシーンを想像してしまい、首を振る。
ハチミツ百合プレイとか高度過ぎる。かといって、俺が対象になるのも……ね。
どこにも残らないぐらいなめとられそうで、やられてみたいような怖いような。
「いかんいかん。うう、またラピスに感づかれてしまうかな……」
よく、一度折れた物はもうだめだといった話を聞く。そこで折れる癖がついてしまうという話だ。
俺の……理性や自制も、折れることを覚えてしまった以上、次はあまり抵抗できそうにないな、と思ってしまった。
「おっと、明日からの事を考えるか」
色々と駄目な考えを横にして、明日からの予定に気分を切り替えることにした。
その夜、結局ラピスに感づかれてしまったのは言うまでもない。少女が虜になっているのか、少女に虜になっているのか。
部屋に立ち込める甘い香りにクラクラしながら、そんなことを思うのだった。
ハチミツプレイは後の問題があるから念入りに掃除しないとね(違う
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リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは
R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。
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