JD-032「少女三人集まれば……可愛い!」
外出先からのため、あとで修正入るかもです
鉱山の街、カセンド。 地球のそれとは全く違う、不思議な鉱山を抱いたおかしな街だ。
掘られる場所が移動するにしたがって街も変化していき、今はどこか長細く伸びた面白い街。
一番多いのはその鉱山関係の依頼だけれども、そうでない依頼もある。
今、俺達が掘る権利を買った場所はまだ何日か掘れるけど……うーん。
(あんまり掘りすぎるのもなあ)
視線を向けるのは、鉱山ギルドの買取カウンター脇に出した掘った物たち。
視線を周囲から集めているので、普通ではないのは間違いない。というか、掘り当てすぎたような気もする。
続けてこれだけ稼ぐと普通の依頼がかすむほどなのだ。
たまたま出会ったおじさんと息子さん2人もまじかよって顔だ。きっと俺もそっちの立場だったら同じ顔になる自信がある。
「えーっとだな、大体どれぐらい掘ってこれだ?」
「貴石術も使って大体……入り口から20メートルか30ぐらいですね」
女神様の力で互いの言葉が翻訳されてるようなので単位は気にせずに質問に答えていく。
岩盤がどのぐらいで出てきたか、等も合わせてだ。
清算金額をまとめてくる、と言ってギルドの担当者が奥に引っ込んでいくのを見、ため息をつきながらおじさんの元へと向かう。
ジルちゃんたちはギルドに併設されている売店コーナーで色々と物色中だ。
加工されたアクセサリーなども売ってるので暇つぶしには最適というわけだ。
「はは、2回目にしてもう目をつけられたみたいだな」
「運が良いのか悪いのか……ちょうどいい鉱床に当たったみたいです」
誘われるままにギルド内にある椅子に座り、向かい合う。
息子さん2人は掘れたものが気になるようでチラチラと鉱石の山を見ている。
まあ、気持ちはわかる。俺も何もなければ手に取って眺めていてもいいかなと思えるからね。
「ひょっときた冒険者が掘ったらがっぽり、は無いわけじゃない。だからこそ、注目を集めるわけだしな。
たぶん、買い取り以外に話があるぞ。周囲を大規模に掘りたいから権利を買い上げできないかってな」
詳しく話を聞くと、少なくない金額を対価にその場所の採掘権利をギルド側に戻し、ギルド主体で採掘作業を行うという申し出があるだろうということだった。
確かに、掘ったら儲かるとは限らないのでそれもありと言えばありだろう。
俺達は同じ場所にいるわけにもいかないからね。そろそろ討伐をメインに行わないと石英が足りない。
ゴーレム退治も良いけど、数があまりいないようなので森等で他を倒した方が数が稼げそうだ。
それに、ここのゴーレムは他の冒険者が結構倒すみたいだしね。
「待たせたな。これが代金だ、確認してくれ」
「はい……問題ないです」
じゃらりと音を立てる布袋の中身を見ると、事前に計算した金額とほぼ同じ、むしろ上だ。
多少は色を付けてくれたらしい。ギルドの職員はそのまま帰るかと思いきや、俺の向かいに座り、こちらを見る。
これは……予想通り、か。
「うーむ、ここで普段なら採掘権の買取の話をするのだが、お前さんならそれより稼ぎそうだな……」
「いえ、構いませんよ。採掘師に転職するつもりもないので相場通りの金額で権利をお譲りします」
話は聞いてますから、と断りを入れつつ相手が具体的に提案してくる前に承諾の返事をする。
職員が驚いた顔をするけど、俺にとってはそんなに大きな話ではないのだ。
生きていくには十分なお金も稼げているしね。
「兄ちゃんはこういう奴なんだ。見習うと母ちゃんに怒られるけどよ。
ガツガツしてたら恥ずかしくなっちまう」
「そちらがそれでいいというなら、ありがたく話を進めさせてもらおう。
調査に数日貰いたいので後日、来てもらえるか?」
おじさんのちょっと恥ずかしい褒め言葉に照れつつ、職員の言葉に頷いて席を立つ。
ではまた後日、という挨拶をしてジルちゃんたちを迎えに。
こうしてみてるとアクセサリーショップで騒ぐ小学生仲間、といったようにしか見えない。
年長者のラピス、その下のジルちゃんとニーナ。あれこれ互いに見比べてはきゃぴきゃぴと黄色い声が響く。
ジルちゃんですらどこか笑顔で、2人に選んだアクセサリーを勧めているようだ。
「お待たせ。良いのあったかい?」
「あ、ご主人様。ぴかぴか、きれいだよ?」
その場でくるりときれいに回転し、ジルちゃんが見せてくるのは色付きの石英が使われた髪留め。
しっかりした造りで、以前あげたような布によるリボンと比べると、さらさらした髪でもつけられそうだ。
「うん、綺麗だね。ラピス、このぐらいならつけてても大丈夫そう?」
「そうです……わね。大丈夫ですわ。あら……もしかして?」
俺の問いかけに期待に満ちた視線を返してくるラピス。
それに頷いて、ジルちゃんの手にある髪留めをひょいっとつかみ取る。
「買ってあげるよ」
「あう……でもちょっと高い……」
笑顔でそういう俺だけど、ジルちゃんはうつむき気味に言って値札を指さす。確かに、宿の宿泊代金に近いなかなかの金額だ。
でもまあ、ね。ここで買わなきゃ嘘だろうと思う。
「ジルちゃんとラピスにはいつも助かってるからね、このぐらいはさせてよ。ニーナは加入のお祝いだ」
「いいのですかー!? 嬉しいのです!」
「あらあら……では私はこちらを」
それぞれに選んだ髪留めにお金を支払い、その場でつけてあげる。
店員さん(女性)の視線が生暖かいような、やるじゃないと言っているような、微妙なところ。
少なくとも、買ってあげたこと自体は褒められていそうだけど……。
3人も?なんて思われていそうである。
「むふー……」
「壊さないように立ち振る舞わなければいけませんわね」
「やったのです、はっぴーなのです!」
でも、3人の喜ぶ姿を見て失敗ではないなと思えた。
今後も出来るだけこういった機会を作っていけたらいいな……それにはこっそり1人で何か稼がないと。
毎回、こうして全員で稼いだお金から出すのはちょっと恥ずかしい気もする。
3人とも、俺のお金なのだから、とはいうけどね……。
男の子のプライドってやつかな。
「今日はこのまま外で魔物を退治しよっか」
「おー」
「はいなのです」
「討伐依頼、しっかり確認しませんと」
ちょっと騒がしいかな?と思いながらそのまま冒険者向けのギルドへ。
最初に来た時と同じような雰囲気の室内にある依頼書を見、近くでこなせそうな討伐と採取の依頼を受けていく。
討伐の砂ゴブリンというのはともかく、採取の方はサンプルの絵を見る限りは普通のごぼうに見える。
名前は……ボーゴ? まあ、何も言うまい。
今の時期に花を咲かせてるらしいので見つけるのは簡単だそうだ。
少女3人連れということで視線を感じながら、4人で街の外へ。
俺はその時、知りもしなかった。
外でも気を付けないと自分のやることがない状況になるということを……。
少女と行く異世界ヒモ生活、はっじまら……ないよ?
ブクマ、感想やポイントはいつでも歓迎です。
増えると執筆意欲に倍プッシュ、です。
リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは
R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。
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