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宝石娘(幼)達と行く異世界チートライフ!~聖剣を少女に挿し込むのが最終手段です~  作者: ユーリアル


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JD-025「少女の痕跡を探し出せ!」

各話にタイトルをつけてみました。

たまに怪しさが漂う気がします。

 

 トスタの街を出て、新しい街カセンドへ。そこは鉱山の街だった。

 さっそくと依頼を受けて山に来た俺達は食料などを届けに来たのだ。


 そこで出会ったのは父親と息子2人で掘っているという人と、そんな彼らが掘り当てたというアンバー。

 恐らく磨けば卓球の玉ほどになるであろう大きさの原石が松明に照らされて怪しく輝く。


「コイツはそれ自体だと結構脆いんだ。ただ、上手く使うといい感じのマナが取り出せるらしいんだ。だからよう、小さくても結構いい値段で王都に売れるのさ」


「へー……樹液だからですかね?」


 何気ないつぶやきに、男3人が固まった。


(ん? あっ、やばっ)


 アンバー、琥珀が樹液の化石化したもので長い長い年月が必要な物だというのは研究の結果による地球での知識だ。

 この場所でそこまでの事がわかっているかと言われれば、目の前の反応が全てだ。

 何より異世界なのだからそのあたりの常識が違う恐れもある。


「おい、お前さん」


「いやいや、見た目がそれっぽい色だなって思っただけですよ、うん」


 問いかけてくるお父さんの言葉を遮って慌てて言い訳にかかる。

 我ながら苦しい話だけど、他にどうしようもない。


「これもそうですの?」


「こっちにも、あった」


 話題をそらそうとしてくれたのか、偶然なのか。ジルちゃんは天然でラピスだと前者かな?

 たまたま足元にあったらしい小さい欠片を手に、2人が光の下に持ってくる。


「お? そうだな。大体周りがこうやって覆われてるからどのぐらいの大きさなのかわかりにくいんだよなあ。うっかりすると割っちまうしよ」


「父さん、それよりご飯」


 話が続きそうだった所を、息子の1人が割り込んでくる。

 ナイスだ、名前も知らない男の子よ。俺達も自分の分は仕舞ってあるのでそれを取り出しながら変則的な6人の食事。


 ふと見ると松明ではない明かりの正体はランタンのような物だった。 でも、何かが燃えている様子はない。


「ああ、コイツは石英を燃料にした灯りの魔道具さ。これでも結構高いんだぜ? まあ、こうやって掘るには必須だけどよ」


 見せてもらうと、確かに底の方に石英を入れるスペースがあり、そこからランタン本体に配管のような物が伸びている。

 こういうのを作る人もいるんだな……。


「よしっと。ありがとな。母ちゃんにはあさってには戻るって言っておいてくれ」


「わかりました。あ、そうだ。ここって掘るのにどんな許可がいるんですか?」


 ついでにごみを回収しながら気になったことを聞いてみると、男3人がキョトンとした顔になる。


「ジルも、掘ってみたい、な」


 理由はジルちゃんが呟いた通りなのだが、どこかに管理する場所があるはずだと思ったのだ。


「あー……そうだなあ。週に1回、どこの辺を掘りたいかというのを競る場所があるんだ。

 新しい場所はそれで決める。一度掘った場所は最初に掘ったやつが優先的に場所を買える。

 だからここは次は俺達が優先的に買えるし、掘ってない場所なら

 お前さん達でも買えるかもしれんぞ? といっても、掘るのは結構大変だと思うが」


 そのまま話を聞くと、お金だけ出して掘るのは任せて儲けは折半、ということはたまにあるらしい。

 何も出ないときもあるらしいから結構ギャンブルなようだ。

 しかし、こうやって決めているということは山全体は国、あるいは街の物として権利を分配してるわけだ……。

 それならあちこち好き勝手に掘られて、なんてことも防げる。


 なかなか頭のいい話だ。そして、忠告ももっともな話だ。聞けばここももう3週間目らしい。

 まともに掘ろうと思ったら根無し草の冒険者には向かない話だろう。


「記念だからいいんですよ。何か出ればめっけもんです」


「確かにちょっと掘っただけで当たる時もあるからな……運試しにはいいか。

 最初はかなり安いからな。掘らないならそこらを見回ってても大丈夫だぞ。

 ああ、上に行くときは気を付けろよ。なんでも妙にでかいゴーレムが見つかったらしい」


 冒険者の暇つぶしと思ってくれたのか、それ以上つっこみはこなかった。

 山があったら掘ってみたい、海があったら釣ってみたい。なんとなく、冒険の時のお約束だよね。

 それに……。


(でかいゴーレム、か。そいつかな?)


 それだけ大きいゴーレムならコアも相当な物だ。巨大な石英か、あるいは……。

 そんなことを考えつつ別れの挨拶を告げ、坑道から外に出る。

 広さのある山道に戻り、さて……と周囲を見渡してみる。


「見える限りでは3つ……いや、4つ掘ってるのかな?」


「そうですね。やはり山道沿いは多いようですわ」


「もってくの、大変だから?」


 ジルちゃんの言うように、馬車の入れなさそうな脇はあまり掘られていないように見える。

 そして山道沿いは逆に点々と穴がある。これ、場合によっては中でつながってそうだな。

 まっすぐより横に掘ることも無いわけじゃないだろうし……。


「ちょっと歩こうか」


「色々と探してみないといけませんね」


「おねーちゃんいるかなー」


 存在を感じ取れるかは別として、掘るのによさそうな場所を物色すべく歩き出す。

 少しずつ上へ、上へと。地球だとこんな山道を歩いていたらすぐに息切れしそうだけど、今の体はそんな様子はない。


「落石だー!!!」


 そんな時、上の方から叫び声がする。慌てて脇にどきながら上を見ると、バランスボールの大きさの石がいくつか、上の方から転がってくるのが見える。

 荷台の下に逃げ込んだり、岩の間に逃げ込んだりと様々な中、俺達の視線の先には硬直したままの男の子が1人。

 仕事で掘られた岩を運んでいたのだろうか? 重そうな天秤のせいで逃げるのが遅れたようだ。


「ラピス、あの子を。ジルちゃん、行くよ!」


「はいっ」

「うんっ」


 駆け出し、坂道を駆けのぼる。落下してくる石の速さは増している。このままだと悲惨なことになるだろう。

 ラピスに男の子の保護は任せて、俺はジルちゃんと一緒に石に向かう。

 ジルちゃんの貴石術があちこちに打ち込まれ、落下してくる石へとぶつかって軌道が変わっていく。


 その中の1つはやや大きく、止まらないようだった。


(だったら……)


「これでどうだ!」


 そのまま真っ二つはちょっと微妙だと思い、若干手ごたえを残した状態で押し切るように石を切り裂く。

 かなりの衝撃が手と足にかかるけど、幸いにも耐えることができた。

 そのまま石は左右に分かれ、山道に倒れ込むようにして止まる。他の石たちも被害の無い方へ転がって止まったようだ。


「ふー……大丈夫か?」


「え、うん!」


 転がったままの男の子を助け起こしてやると呆然としていた顔に生気が戻って元気よく頷いた。

 そしてそのまま仕事を再開、となかなかにタフだ。しばらくはガヤガヤと落石で騒がしかったけど、それもいつしか静かになっていく。


 しばらく上へ進んだところで、先に掘っている人がいないような光景が広がってきた。

 もう街からは結構あるし、ここから運ぶのはかなりの重労働だ。

 話によれば大きなゴーレムがいるようだし、危ないという判断なのだろう。

 きょろきょろと周囲を見るが、確かに誰もいない。


 ここなら試してもよさそうだな。


「ちょっと離れてて」


「ご主人様?」


 首を傾げるジルちゃんをラピスがそっと下がらせてくれる。問題はないと思うけど、念のためだね。

 そして俺は足元に落ちている土まみれの岩を収納袋に入れる。それは当然、音もなく収納袋に消え去る。


 さて、本番はここからだ。


 もう1つの岩を手にして、土部分だけ(・・・・・)を入れようとしてみる。

 感じたことの無い手ごたえの後、手にはごつごつとした岩部分だけが残った。

 水洗いして磨き上げたように光っているけどね。


「おおー?」


「なるほど……さすがマスター」


 目の前で起きたちょっと不思議な出来事に2人の表情が変わる。


(やっぱりね。収納袋は使う人のイメージでだいぶ違うんだ)


 一人頷き、今度は山肌へ。聖剣を抜き放ち、切れ味を最大にして突き入れる。

 さくっと、柄近くまで埋まった聖剣。そのまま横にずずっと動かすときれこみが入る。

 俺は一度抜き、今度は縦に。それを繰り返し、なんとなく四角くくりぬけそうですよ、といった具合にしてみる。


 そして収納袋をそこに押し当て、イメージする。


(大体1メートル四方の土!)


 掃除機でごみを吸い取るかのような感触と共に、目の前から土が消え去った。残るのは岩の塊ばかり。


「よし、大成功だ。これならいくらでも掘れるな」


 岩だらけなら岩と念じればよさそうだ。

 収納袋の容量が保有するマナの性でかなり広がっている俺ならではだ。

 仕舞った土を取り出してそれっぽく埋めて証拠を消していく。


「このあたり、聞いてみようか」


「ライバルはいなさそうですわね」


 ラピスの言うように、この辺なら俺も狙っていた場所だと言われることもなさそうだった。

 ふと、ジルちゃんを見ると一方をじっと見ている。


「どうしたの、ジルちゃん」


「わかんないけど、なんか呼ばれた気がしたの」


(ラピスの時もそうだった……ジルちゃんはカンがいいのかな?)


 じゃあここにしよう、とだけ言ってひとまず街に戻ることにする。


 適当に酒場で食事がてらお酒を驕ったおっちゃんの話だと、場所の競りはあさってらしかった。

 さて、見つかるといいのだけど。

ブクマ、感想やポイントはいつでも歓迎です。

増えると執筆意欲に倍プッシュ、です。


リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは

R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。



誤字脱字や矛盾点なんかはこーっそりとお願いします

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ご覧いただきありがとうございます。
ぽちっとされると「ああ、楽しんでもらえたんだな」とわかり小躍りします。

○他にも同時に連載中です。よかったらどうぞ
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