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宝石娘(幼)達と行く異世界チートライフ!~聖剣を少女に挿し込むのが最終手段です~  作者: ユーリアル


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JD-019「トスタ防衛戦」


 街に鳴り響く鐘の音。これから3日間、戦いの始まりだ。

 視線の先、街の中央部にある建物の中では結界のための装置が入れ替わったところかな。

 今はまだ静かだけど、すぐに魔物は結界がないことに気が付き、あふれ出てくるはずだ。


「なんだか……少し寒い気がしますわ」


「言われてみれば……結界の中は何かに包まれていたような感覚があったってことかな」


 ラピスに言われて、街道から横に行った時の様な感覚だということに気が付いた。

 ジルちゃんも無言できょろきょろしているので同じことを感じているようだ。


「遊撃の皆さんはこちらから外に出てください! 街の門は決まった時間以外開きません!

 撤退の際には方角と時間に気を付けてくださいね!」


 今日ばかりはカウンターから出てきているお姉さんの誘導に従い、街の外へ。

 簡易的な木の杭によるバリケードがあちこちに作られており、門より外で迎え撃とうという人員の数の多さがわかる。

 確かに防壁の上からの矢の援護も少し離れていないと意味がないからね。

 周囲を見れば、同じように外に出てグループごとに固まっている冒険者と兵士。

 みんな緊張感に満ちた表情だ。多分、俺もそういう顔をしている。


「だいじょうぶだよ、ご主人様」


「そうですわ。やればなんとかなります」


 そんな俺の緊張をほぐそうとしたのか、左右の手をそっと摘まんでくる2人。


「そうだね、うん」


 年下(に見える)の子に励まされるなんて男としては少々、いや……かなり情けない物だ。

 気合を入れなおすべく深呼吸し、顔を引き締める。


 ふと耳に届く遠吠え。声の感じからして、野犬だ。

 聖剣を構える俺の視界の中で、何人かがやはり声を聴いて駆け出す。

 ゴブリンと比べて足の速い野犬は近づいてから仕留めるよりも先に仕留めに行くのもあり、な相手だ。

 今となっては大して苦労しない相手ではあるけれども後から邪魔されるよりは、と考えたのだろう。

 俺達もその一部となってまずは小手調べとばかりに街から離れる。

 すぐに道の向こうから10頭近い群れの野犬が街道を堂々と走ってくる。

 結界という考えが野犬にあるかどうかは別として、普段は知れない場所を走れるというのをもしかしたら気に入ってるのかもしれない。


 と言っても所詮は野犬。俺達どころか冒険者にとっても普通の相手だ。

 走ったまま連携も何もなく襲い掛かってくる野犬だったが、すぐにギャウンと叫び声をあげ、沈黙。

 武器が当たりさえすれば柔らかい相手なのだ。手早く石英を取り出し、牙を折る。

 報酬はギルドから一括で出るとはいえ、それ以外は自分たちが出来るだけ、だ。


 石英を取らなければ死体はしばらく残るというが、戦ってる間に他の奴に取られたりしないのだろうかと思った。

 ただ、その疑問は近くにいた冒険者に聞くことであっさりと解決する。


 曰く、「たまにならともかくずっと石英を取ってるやつがいたらどう思う?」


 なるほど、と思った。誰が倒したかわからなくなってくるだろうけども、それはお互い様なので普通に合間合間に取るのは誰も気にしない。

 ただ、横取りをするような動きをしたならば、全然戦ってないのに何で採取してるんだ?となるわけだ。

 さて次は、と顔を上げたところで再びの声。


(おいおい、どこにこんだけ隠れてたんだよ)


 思わずそう思ってしまうほど、あちこちから、そして街道の遠くから走り寄る影。

 1つ1つの群れは小さいけれど、そのまま対処するにはちょっとばかし、厳しい気がする。


「マスター、無理せず行きましょう」


「そうだね、先は長そうだ」


 冷静なラピスの声に頷き、元気よく構えているジルちゃんの頭を軽くなでて俺も聖剣を構えなおす。

 数は多そうだけど、あまり気にする必要もないかもしれない。このまま、やれることをやっていけばいい。


 まだ1日目だ。


(きつそうならラピスのスキルに変更して挑めばいいしね)


 よだれをたらしながら迫ってくる野犬を見ながらそう考え、飛びかかってきた相手を一閃。

 手ごたえなく沈黙する野犬だが相手はまだまだいる。

 そういう作戦という訳じゃないんだろうけど、野犬が最初に来るのはやはり街に近いからだろうか?

 あるいは森の奥の方まで知れ渡るまでにタイムラグがあるのか?

 オークは親玉を1匹倒してるからどうだろうな……。


 既に街のそばでも戦いは始まっている。迎撃しきれない分の野犬が迫っているのだ。

 防壁そのものには手が出ず、隙間である門に殺到する相手はそのまま串刺しになったり、剣で切り裂かれるなどしている。

 今のところは大丈夫そうだ。


「ゴブリンがきたぞー!」


 どこからか、声がする。顔を上げると、森の方からやってくる緑色の人影。

 やや低い背丈はゴブリンで間違いない。ゴブリンから手に入る石英は手ごろな大きさで、稼ぎもわかりやすい。

 おのずと迎撃側の動きも変わっていくことになる。

 現場の判断でチームを組み、倒す者、取る者を交代したりなど。疲労からか、門まで下がって休息を取る人もいる。

 俺達3人は、特に休憩することなく草原を駆けまわっていた。


「1つ……もういっちょ!」


「マスター、右前方3!」


「石英確保……おっけー」


 斬れ過ぎる聖剣もこの時はある意味非常に都合がいい。俺の手が振るわれる度、ゴブリンの腕が飛び、頭が飛ぶ。


(近くで見たくはないけど潰すようにするよりマシか)


 他の冒険者のように鈍器で押しつぶしたり、余り切れ味のよくない刃物でちぎるように切られるよりはまだましな姿に思えた。

 マナが体力になる2人と、チートな肉体を持つ俺。状況確認にたまに柵を回り込んだりしていくものの、事実上、休憩は無いに等しい。


 もっとも、延々とゴブリンがやってくるからこそ逆に逃げ出すタイミングを逃しているともいえる。


(ああ、もう。うっとおしい。あれだけ間引いてるのに本当にどこから!)


 受付のお姉さんが愚痴をこぼすわけである。恐らく彼女は1度か2度はこれを経験しているのだろう。

 だからこその、間引き推奨の案内。もしかしてこの辺の草の色が緑が濃いのはゴブリンの血だったりしないか?

 そんなことが頭をよぎるほど、あちこちでゴブリンが倒れている。


 同時に、薬草としてのギヨモが枯渇しないのはこのせいだと思った。今回の襲撃は別格として、地面に魔物が溶けていくことで薬草はそれを吸い上げ、成長しているのだと。


「おい! 無理せず明日に備えて配分を考えて行けよ!」


「ありがとうございます! そうします!」


 ゴブリンから石英を取り出すために足を止めた俺達に、同じように外で迎撃していた冒険者の一人が声をかけてくる。

 そのまま駆けていく彼の背中に叫び、気持ちを整えるべく深呼吸。

 振り返れば、少し前に出過ぎていたかもしれない。


「一度下がろう。お昼になるしね」


「そうですね。戻れるうちに戻りましょうか」


 聞いた話によれば魔物はなぜか夜には動きが鈍いらしい。

 森から出てこないんだとか。都合のいい話だけど、守る分にはそのほうが良い。


 こうして、防衛1日目が過ぎていく。


ブクマ、感想やポイントはいつでも歓迎です。

増えると執筆意欲に倍プッシュ、です。


リクエスト的にこんなシチュ良いよね!とかは

R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。



誤字脱字や矛盾点なんかはこーっそりとお願いします

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ご覧いただきありがとうございます。
ぽちっとされると「ああ、楽しんでもらえたんだな」とわかり小躍りします。

○他にも同時に連載中です。よかったらどうぞ
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