新しい生活の始まり
20××年、春。
今日から私は、高校生になる。
新しい制服を身にまとい、髪を1つに結び、鏡の前で服が乱れていないかチェックをする。
「咲〜、早く朝御飯を食べなさ〜い」
「は〜い」
お母さんに返事をし、リビングへ向かうと、お父さんが席について新聞を読んでいた。
「お父さん、おはよう」
笑顔で挨拶すると、お父さんは新聞から顔を上げ、「おはよう」と言い返してきた。
そのまま席に着き、お母さんが作ってくれた朝御飯を食べ始めると、お母さんも席に着き、一緒に食べ始めた。
「もぅ咲も高校生なんだね〜」
お母さんがそう言うと、お父さんも「そうだな、早いもんだな」と言ってきた。
私は「そうだね」と笑いながら応え、御馳走様を言い、食器をキッチンへ持っていく。
そして二階にある自分の部屋に戻り、鞄を持ち、もう一度鏡を見た。
「…大丈夫、大丈夫。」
自分にそう言い聞かせ、私は元気よく家を出た。
「わぁ…大きい」
第一声が、この言葉だった。
どこをどう見ても、誰が見ても大きいとしか言いようがないこの学校。
有名校だって言うのは知っていたが、まさかこんなに大きかったとは…。
「ねぇ、なにしてるの?」
突然後ろから声をかけられて驚く私。
私の反応が面白かったのか、声をかけてきた人は笑いを堪えていた。
「ぷっ…あははっ!面白いね、君」
何事かとその人をよく見ると、私と同じ制服を着ている女子だった。
髪はショートで、制服はしっかりと着ている。
顔立ちは整っていて、スラッとしている、きれいな人。
でも、男装をすれば男子に見間違いそうだなぁ…。
「今、男子っぽいって思ったでしょ?」
「えっ!?」
まさか…エスパーなのか?
「いや、声出てたよ」
まさかの失態。
彼女はまた笑い出したし、なんなんだ…。
「あっはは…はぁ〜疲れた」
私も疲れたわ!と言うと、また笑われそうだったので堪えた。
「ふぅ…あ、自己紹介まだだったね。私の名前は雨宮 怜衣。よろしく」
怜衣ちゃんか、名前までカッコ可愛いとは…。
「あっ、私は茅野 咲です。よろしくお願いします。」
「うん!あ、私には敬語使わなくていいからね?」
怜衣ちゃんは私に満面の笑みで話してくれる。
それだけで本当に嬉しいと思ってしまう。
「う、うん!よろしくね!」
「よし、それじゃぁさっそく、何組か見に行きますか。」
私達は、春風と共に新しい生活のスタートをきった。
残りの時間、幸せな生活を送れるかな…。