家来が語る、昔のお話
貴方はこのお話を知っていますか?
これは 昔のお話
昔 一人の貴族に仕えていた一人の家来のお話
その時代の その国はとても荒れていました
王は絶対な存在です 王は神です
逆らう者には死を 従う者には地獄を
そんな時代の王国の 国土の最南端に彼らは居ました
そこには 一人の貴族と一人の家来が
二人はとても仲良しでした 幼い頃から深い絆で結ばれています
ただ決して裕福では在りません ご飯も一日一回です
でも 二人はそれなりに楽しいと思える日々を送っておりました
でも ある日
それは深夜の事
それは丸く輝く満月の夜
その貴族が言いました
お前はもう用済みだ 要らない!
消えろ! ここから出て行け!
家来は 何も言わずに聞き入れました
聞き入れるしかなかったのです
はい 貴方様がそう願うのならば
その一言だけを残しその場に残し
あの方の館から
あの方と初めてお会いしたあの庭から
あの方とめぐり合わせてくれたあの土地から
立ち去ってゆきました
それから時は過ぎまして
家来は知りました
それは噂で その土地で出会った新しい仲間の笑い話として
その日は 丸く綺麗な満月の夜
ある貴族の下に 反王国派の者達がついに立ち上がったのだという
だが その熱き思いも 屈強な決意も
虚しく 崩れ去って行きました
もちろん その後に彼らを待っているのは死だけです
彼らはその国の国王自らの手で 笑い声と共に
一人ずつ 一人ずつ
その首を断ち切られたそうです
しかし それだけでは終わりません
その関係者 その血縁者 その顔見知り
全て焼き捨てらたといいます
その全ての悪夢が始まったと言われている日が 私があの土地を出て行ってからの七回目の夜
丁度あの満月が欠けて 綺麗な三日月になった時だったそうです
もちろんその反王国派の貴族の中に私の主人様も含まれていました
私の主人様は最後に 見せしめとして派手に殺させたそうです
その理由はとても簡単な事でした この計画の首謀者は私の主人様だったからです